「感じ悪いわ」喫茶店の新人バイトに苦情を言う女性客。店長が穏やかに説明すると、女性客の態度が一変
初めてのアルバイトで教わった接客のルール
学生時代、初めてアルバイトをしたのは、昼どきににぎわう喫茶店でした。
働き始めた日、白髪まじりの店長は、砂糖とミルクの入ったかごを見せながら教えてくれました。
「おかわりのときは、砂糖とミルクは最初にひとつずつね。もっと欲しいと言われたら、追加で持っていって」
私はその言葉を覚え、慣れない仕事を一つずつこなしていました。
ある日の昼過ぎ、先輩から声をかけられました。
「奥のお客様、コーヒーのおかわりが入ったからお願い」
私はデキャンタと砂糖、ミルクの入ったかごを持ち、奥のテーブル席へ向かいました。
「失礼します。コーヒーのおかわりをお持ちしました」
母と同じ年ごろの女性客がカップをこちらへ寄せたので、私はコーヒーを注ぎ始めました。
すると女性客はかごに手を伸ばし、砂糖とミルクを次々に3つずつ取っていきました。
店長から教わった決まりを思い出し、私は思わずその手元を見つめてしまいました。
「あの、すみません…」
「何?」
女性客は私の視線に気づいたようで、眉をひそめました。
「砂糖とミルクは、最初はおひとつずつお願いしているんです。足りなければ追加でお持ちしますので…」
「えっ、そうなの?そんなこと聞いてないけど」
「すみません。先にご案内すればよかったんですが…」
「さっきから人の手元ばっかり見てるし、何なの?感じ悪いわ」
女性客の声が少し大きくなり、私は言葉に詰まってしまいました。
すると女性客は、ため息をついて言いました。
「もういいわ。店長さん呼んでくれる?」
女性客の苦情に、店長が伝えたこと
私は慌ててカウンターへ戻り、店長に事情を説明しました。
店長と一緒に席へ戻ると、女性客はすぐに話し始めました。
「この子ね、人の手元をじっと見てくるのよ。何かと思ったら、砂糖とミルクはひとつずつにしてくれって。最初に説明してくれればいいのに」
近くの席のお客さんたちも、何事かとこちらを振り返っています。
私はうつむいたまま、何も言えませんでした。
店長は女性客の話を最後まで聞くと、穏やかに答えました。
「ご案内が足りず、申し訳ありません」
そして、砂糖とミルクに目を向けて続けました。
「おかわりの際は、最初におひとつずつお渡しするよう、私がスタッフに教えているんです。足りない分は追加でお持ちすることにしております」
「ああ、そう」
「必要でしたら、こちらでお持ちしますので」
店長がそう伝えると、女性客は自分の手元を見下ろしました。
「……もういいわ」
そう言って、手にしていた砂糖とミルクをかごに戻しました。それ以上、私への苦情を口にすることはありませんでした。
店長は軽く頭を下げ、私を連れてカウンターへ戻りました。
「びっくりしたでしょう」
そう声をかけられ、私は小さくうなずきました。
「次からは、先にひと言伝えようね。困ったときは私を呼んでいいから」
「はい。ありがとうございます」
ようやく肩の力が抜けました。
振り返ると、先ほどの女性客が伝票を手に、足早にレジへ向かってくるところでした。
最初にルールを説明できなかったのは、私の経験不足だったと思います。
それでも、女性客を責めることなく、私のことも守ってくれた店長の対応は、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














