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2026.09.17(Thu)

「ふざけた態度とるんじゃねえ」と怒った客。防犯カメラでも理由は分からず、数年後の再会でも残った疑問

「ふざけた態度とるんじゃねえ」と怒った客。防犯カメラでも理由は分からず、数年後の再会でも残った疑問

低い声でくり返された言葉

20代のころ、コンビニでアルバイトをしていた。

夕方の混雑が過ぎ、揚げ物のケースを拭いてからレジに戻ったときのことだ。

作業着姿の男性が、お弁当を1つレジ台に置いた。

温めますかと聞こうとして顔を上げると、男性の眉がぐっと寄っていた。

「…おい。なめてんのか。ふざけた態度とるんじゃねえ」

怒鳴っているわけではない。それでも、押し殺すような低い声に、私は一瞬動けなくなった。

何を怒られているのか、まるで分からなかった。

「え…すみません。何か失礼なことしましたか?」

男性は表情を変えず、私をじっと見た。

「申し訳ありません。でも、私…」

言い終わる前に、男性がかぶせるように言った。

「ふざけた態度とるんじゃねえ」

私はもう一度頭を下げた。けれど、何を謝ればいいのかさえ分からない。

何が気に障ったのか分からないまま同じ言葉をくり返され、「私、何かした?」という考えばかりが頭の中を回っていた。

店長と見返した映像

そのとき、奥の事務所から店長が出てきて、私の前に半歩出た。

「お客様、申し訳ありません。何かございましたか?」

男性は店長の顔を一度だけ見た。

「この店員の態度が気に入らねえんだよ」

「そうでしたか。申し訳ございません。こちらで対応します」

男性はそれ以上何も言わず、レジ台に代金を置くと、お弁当をつかんで店を出ていった。

自動ドアが閉まったあと、店長が私を振り返った。

「大丈夫?何があった?」

「それが……私にも分からないんです。急に『なめてんのか』って言われて」

「その前に、何かやり取りした?」

「いえ。お弁当を受け取って、温めるか聞こうとしただけです」

店長も困ったように眉を寄せた。

「そっか…。あとで一応、映像を見てみようか」

客足が途切れたあと、事務所で店長と防犯カメラの映像を見返した。

画面の中の私は、いつもどおりにお弁当を受け取り、男性のほうへ顔を向けていた。

店長は何度か映像を止めながら、首をひねった。

「うーん…別に変なことしてないよな」

「声が小さかったんでしょうか」

「いや、普通だと思うけどな」

「じゃあ、目を合わせてなかったとか…」

「いや、ちゃんと見てるよ。ほら、ここ」

店長は画面を指さし、しばらく黙ってから聞いた。

「結局、何て言われたの?」

「ふざけた態度とるんじゃねえって」

「でも、映像を見ても何が気に障ったのか分からないな」

店長は腕を組んだまま、小さく息を吐いた。

「理由が分かれば、次から気をつけようもあるんだけどな」

「そうですよね…」

私もそう答えるしかなかった。

 

数年後、私は飲食店のホールで働いていた。

ある夜、案内した席に腰を下ろした男性を見た瞬間、伝票を持つ手が止まった。

あのときの男性だった。

顔を見ているうちに、コンビニでの出来事が一気によみがえってきた。

男性は私を見上げ、ごく普通の調子で言った。

「これ、ひとつお願いします」

「……はい。かしこまりました」

料理を置いても、お茶を注ぎ足しても、男性は何も言わなかった。

食べ終えると静かに会計を済ませ、そのまま店を出ていった。

私に気づいていたのか。それとも、あの日のこと自体を覚えていなかったのか。

結局、何にあれほど怒っていたのかは、今も分からないままだ。

男性が帰ったあとのテーブルには、きれいに重ねられた食器と、畳んだ紙ナプキンが1枚残っていた。

それを見ながら、私はもう一度「あの日はいったい何だったんだろう」と考えていた。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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