「みんなって、誰のこと?」娘の知らない噂を聞かされた父親。だが、周囲の母親たちが見せた反応とは
ロビーで突然聞かされた娘の噂
小学3年生の娘がスイミングスクールに通い始めて、半年になります。
私は仕事の都合をつけて、週に1回、夕方のお迎えを担当しています。
ロビーのベンチのまわりには、いつも6人ほどの保護者がいて、父親は私ひとりです。その中に、よその家庭のことをよく話題にする母親がいました。
その日も私が娘を待っていると、その人が正面まで来て声をかけてきました。
「今日もお父さんがお迎え?お母さんはお仕事なの?」
「ええ。この曜日は僕が迎えに来ています」
そう答えると、今度は周囲にも聞こえるくらいの声で言いました。
「娘さん、最近テストがあんまりなんですって?」
突然の話に、私は耳を疑いました。
「え…誰から聞いたんですか?」
すると、その人は少し笑いながら言いました。
「3年生で塾なしなんて、みんな心配してるわよ」
娘が塾に通っていないのは事実です。
しかし、学校のテストについて私たち夫婦がほかの保護者に話した覚えはありません。
「塾には行っていませんけど、成績のことは誰にも話していません。『みんな』って、誰のことですか?」
そう尋ねても、その人ははっきり答えませんでした。
「みんなって、誰のこと?」
そのとき、隣にいた母親が顔を上げました。上の子のころからこのスクールに通わせている、40代くらいの人です。
「ねえ、私も聞きたいんだけど。みんなって誰のこと?私はそんな話、一度も聞いてないよ」
先ほどまで話していた母親の表情が止まりました。
さらに、その母親は落ち着いた声で続けました。
「先月は、うちの子のことも話してたよね。誰かから聞いた話なのか、それとも自分で言ってるのか、分からなくなるよ」
すると、ベンチにいたほかの母親たちも小さくうなずきました。
話を振られた本人は周囲を見回しましたが、「みんな」が誰なのかを答えることはありませんでした。
私はそれ以上言い返しませんでした。ただ、家で漢字の書き取りを続け、先週のテストで100点を取って喜んでいた娘の顔を思い出すと、根拠の分からない話を広げられていたことが悲しくなりました。
それまでとは変わったロビーの空気
そこへプールの扉が開き、子どもたちが出てきました。その人は自分の子どもの手を取り、そのまま早足でロビーを出ていきました。
翌週、ロビーの雰囲気は少し変わっていました。
その人が誰かに話しかけても、以前のように会話が広がることはありませんでした。やがてベンチから少し離れた柱のそばで、ひとりでプールを眺めるようになりました。
私は、塾に通っているかどうかも、テストの点数も、それぞれの家庭が考えることだと思っています。
だからこそ、「みんなが言っている」という言葉だけで、知らないところで娘のことまで決めつけられていたことが、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














