「客が欲しい物を置いておくのが店だろ」レジで水がないと怒る男性。だが、呼ばれた店長が案内した場所
いつもの水がないと怒り出した男性
私がまだ学生で、20歳になったばかりのころの話です。
夕方のスーパーでレジのアルバイトをしていて、その日も私のレジには数人の列ができていました。
先頭に来たのは、背広姿の40代くらいの男性です。買い物かごをレジ台に置くと、私が商品に手を伸ばすより先に、飲み物売り場を指さしました。
「水って、あの棚に出てるのだけ?」
「はい、通常の売り場はこちらになります」
すると男性は棚を見たまま、大きく息を吐きました。
「1種類しかないじゃないか。いつもの銘柄が欲しいんだけど」
私はその銘柄がほかの場所に出ているのか分からず、「少々お待ちいただけますか」と答えました。
しかし男性はいらだった様子で、声を大きくしました。
「ペットボトル1本くらい、取り寄せておけよ。客が欲しい物を置いておくのが店だろ」
後ろには3人のお客さんが待っています。どう答えればいいのか迷っていると、男性は私の名札に目をやりました。
「アルバイトじゃ分からないか。分かる人、呼んでよ」
私は「申し訳ありません」と頭を下げ、呼び出しボタンを押しました。
店長が伝えた、もう一つの売り場
ほどなくして、品出しをしていた50代くらいの店長が来て、私の隣に立ちました。
男性は店長にも不満をぶつけます。
「いつもの水がないんだよ。どうなってるの?」
店長は男性が探している銘柄を確認すると、すぐに答えました。
「そちらでしたら、今日は入口の特売台に出しております」
男性は一瞬黙り、「…入口?」と聞き返しました。
「はい。通常の棚には出していませんが、まだございます」
さっきまで強い口調だった男性は、少し気まずそうな表情になりました。
「じゃあ……それ、1本欲しいんだけど」
「かしこまりました。少々お待ちください」
店長は入口の特売台へ向かい、ほどなくして水を1本持って戻ってきました。
男性はそれ以上何も言わず、私が商品を読み取るのを待っていました。
会計を終えると、小さく「どうも」とだけ言い、袋を手に店を出ていきました。
男性がいなくなったあと、店長が私に声をかけました。
「場所を変えて出している商品もあるから、分からなかったらすぐ呼んで大丈夫だよ」
「はい。ありがとうございます」
私は少しだけ肩の力が抜けました。
そして、待たせていた次のお客さんに向き直りました。
「お待たせしました」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














