「お母さんの肉じゃがが食べたい!」入道雲を見た5歳の娘のかわいいお願い。予定を変更して作った夕飯に、夫も思わず笑顔
朝から楽しみにしていた焼き魚
夏のある朝、30代の私は、5歳の娘を保育園へ送る途中で夕飯の話をしていました。
前の晩、魚屋さんで脂ののった切り身を買っておいたので、その日は焼き魚にするつもりでした。
「今日の夜は、焼き魚だよ」
「やったあ!おさかな!」
娘はうれしそうに飛びはねました。保育園の門をくぐるときも、おさかなの歌をうたいながら手を振ってくれたほどです。
そんなに楽しみにしてくれるなら、今夜は決まり。私もすっかりそのつもりでいました。
ところが、その日の夕方。お迎えを終えて家へ帰る途中、思いがけないことが起きたのです。
娘と手をつないで住宅街の歩道を歩いていると、娘が突然立ち止まりました。
「ねえ、お母さん。見て!」
指さす先には、夏の空いっぱいに広がる大きな入道雲。
「わあ、大きいね」
私がそう答えると、娘は目を輝かせながら言いました。
「あの雲、お母さんの肉じゃがみたい!」
「……えっ?肉じゃが?」
思わず聞き返してしまいました。
白くてふわふわした雲と、茶色い肉じゃが。私にはどうしても結びつきません。
「どうして肉じゃがなの?」
「だって、もこもこしてるでしょ。おいしそう!」
娘は大まじめです。私は思わず笑ってしまいました。
入道雲を見て変わった夕飯の献立
「でもね、雲は食べられないんだよ」
そう言うと、娘は少し考え込んでから、私の手をぎゅっと握りました。
「じゃあ、今日の夕飯で作って!」
「えっ、肉じゃがを?」
「うん!お母さんの肉じゃがが食べたい!」
朝はあんなに焼き魚を喜んでいたのに、すっかり肉じゃがの気分になっているようです。
「さっきまでお魚だったのにねえ」
私が笑うと、娘もつられて笑いました。
幸い、家にはじゃがいもも玉ねぎも、冷凍の牛肉もあります。娘がそこまで言うならと、急きょ献立を変更することにしました。
帰宅してじゃがいもの皮をむいていると、仕事を終えた夫が帰ってきました。
私が帰り道の出来事を話すと、夫は窓の外の空を眺めながら笑いました。
「へえ、肉じゃがか。確かに、もこもこしたところが似てるかもな」
「でしょ!お父さんも分かるよね!」
娘は得意げな顔です。
夫まで娘の発想に乗っているのがおかしくて、私はまた笑ってしまいました。
買っておいた魚は翌日の夕飯に回し、その日は肉じゃがを作りました。
鍋からいい匂いが漂い始めると、娘は台所の入り口に立って、うれしそうに鼻をくんくんさせています。
そして夕飯の時間。娘は小さなお茶わんで、なんと肉じゃがを3杯もおかわりしました。
「おいしい?」
私が聞くと、娘は満足そうにうなずきました。
「うん! やっぱり雲よりこっちのほうがおいしい!」
その言葉に、夫も私も大笑い。
夫は空になった鍋をのぞき込みながら、こんなことを言いました。
「明日は、焼き魚に見える雲が出るといいな」
たったひとつの入道雲で、夕飯の予定が変わってしまった一日。
娘には、あの雲が本当においしそうな肉じゃがに見えたのでしょう。
空を見上げるたびに思い出しそうな、わが家の夏の出来事です。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














