「家を売って半分よこせ!」嫁の私を他人扱いする義姉。だが、私が棚から出した義母のアルバムで言葉を失った
お盆の夕方の座敷
お盆の夕方、海外から帰った義姉が家を売れと言い出しました
お盆に親戚が集まった夕方のことです。
叔母たちが帰ったあとの座敷に、夫と私、そして夫の姉が残りました。海外で暮らす義姉が帰ってきたのは、何年ぶりかのことです。
義両親が残したこの家に、今は夫婦2人で住んでいます。
8年前に同居を始めたとき、古い台所やお風呂は自分たちのお金で直しました。
義姉は湯のみを置くなり、声を荒らげました。
「家を売って半分よこせ!」
向こうで開いたお店がうまくいかず、お金が要るのだそうです。
「姉さん、急に何だよ」
家は弟夫婦にという話を退け、義姉は私を他人だと言いました
夫が、父さんも母さんも家は僕たちにって言ってたじゃないか、と返すと、義姉は鼻で笑いました。
「そんな話、聞いてないわ」
「お義母さんも、そう言ってました」
思わず口を挟んだ私に、義姉は手のひらを向けました。お嫁さんは他人でしょ、口を出さないで、と。
何ひとつもらっていないと言われ、夫も私も黙ってしまいました
「私は何ひとつもらってないの」
海外で一人でやってきた。お母さんには毎月はがきを書いて、誰より大事にしてきたのは私よ、と義姉は続けます。
さっきの席でも叔母たちに同じ話をして、お店を立て直すお金を貸してほしいと頼んでいました。
他人と言われた私に、返す言葉はありません。夫もうつむいたままです。
今さら何を見せる気?
アルバムの義姉のはがきには、家の分はもらったとありました
毎月のはがき。その言葉で、8年前の春を思い出しました。
私は立ち上がり、座敷の棚から義母のアルバムを出しました。
「今さら何を見せる気?」
「お義姉さんのはがきです」
義母は届いたはがきを、写真の横に貼っていました。
同居を決めた春、このページを開いて、家のことを書いた一文だけを指さし、義姉もこう言ってくれたのよ、と笑っていました。
外国の消印の横に、義姉の字があります。
お店のお金を本当にありがとう、家の分は先にもらったから、家は息子とお嫁さんにね。
夫がのぞき込み、姉さんの字だ、とつぶやきました。
昔の話だと言う義姉に、私は義姉自身の言葉を返しました
義姉は急に早口になりました。
「そ、そんなの昔の話よ」
向こうのお店を開くお金は、義両親が出していたのです。夫は、このとき初めて知ったようでした。
「何ひとつもらってない、でしたよね」
義姉は何か言いかけて、そのまま口を閉じました。
叔母たちにもお金を借りようとしていた義姉は、口止めしてきました
義姉にも、このページをお見せしましょうか。
私がそう言うと、義姉はバッグを抱えて立ち上がりました。
「叔母さんたちには言わないで」
「では、家の話はおしまいですね」
義姉は小さくうなずき、足早に帰っていきました。
それきり、家を売る話は一度も出ていません。義母のアルバムは、今も座敷の棚にあります。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※作中の描写はフィクションです。実際の相続や法的手続きに関しては、専門家にご相談ください。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














