「客に向かってその態度はなんだ!」新人店員に怒鳴る男性客。店長に文句を言い続けた末に気づいた事実
順番を待つ列に割り込んできた男性客
仕事帰りの夕方、近所のドラッグストアに立ち寄ったときのことです。
店内は買い物客で混み合い、レジ待ちの列が通路まで伸びていました。
レジは2台ありましたが、開いているのは1台だけ。お客さんたちは通路に一列に並び、順番を待っていました。
私は目薬を手に、列の真ん中あたりにいました。
レジを担当していたのは、若い女性の店員さんです。まだ仕事に慣れていないのか、少しぎこちない様子でしたが、一人ひとりに丁寧に対応していました。
そんなとき、一人のお客さんの会計が終わった直後、突然、中年の男性が列の横から歩いてきました。
男性は並んでいる人たちを追い越し、レジ台にかごを置いたのです。
店員さんは驚いた様子でしたが、すぐに声をかけました。
「すみません。あちらの列にお並びいただけますか?」
すると男性は、あからさまに不機嫌な顔になりました。
「はあ?急いでるんだよ!先にやってくれたっていいだろ!」
突然の怒鳴り声に、周囲のお客さんたちも男性のほうを見ました。
店員さんは困った表情で、もう一度説明します。
「申し訳ありません。でも、皆さん順番にお待ちなので……」
「客に向かってその態度はなんだ!」
男性はさらに声を荒らげました。
店員さんは顔を真っ赤にして、言葉に詰まっています。
私も何か言ったほうがいいのか迷いましたが、男性の勢いに圧倒されてしまいました。
店長が男性客を引き受けると……
そこへ、騒ぎに気づいた男性の店長が、奥から早足でやってきました。
「どうされましたか?」
男性は店長を見るなり、怒りをぶつけました。
「この店員、客を待たせておいて謝りもしないんだぞ!」
店長は男性の話を聞くと、落ち着いた声で答えました。
「お急ぎのところ申し訳ありません。ただ、お会計は皆さん順番にお願いしているんです」
「だから、俺は急いでるんだって!」
男性は納得しません。
そこで店長は、新人の店員さんに目を向けました。
「ここは大丈夫だから、会計を続けてくれる?」
それから男性に向き直ります。
「お話は私が伺います。こちらでお願いします」
店長は男性をレジ脇へ案内しました。男性もかごを持って移動し、今度は店長に向かって文句を言い始めました。
一方、新人の店員さんは小さく息をつくと、再びレジに向かいました。
「お待たせしました。次のお客様、どうぞ」
先頭にいた年配の女性が進み、会計が再開されました。
男性の怒鳴り声はまだ聞こえていましたが、列は少しずつ短くなっていきます。
やがて私の番が来ました。
「お待たせして、すみません……」
店員さんは申し訳なさそうに頭を下げました。
「大丈夫ですよ。大変でしたね」
そう返すと、店員さんは少しだけ表情を緩めました。
会計を終えた私は、店員さんのことが気になり、出口の近くで少し足を止めました。
すると、私の後ろに並んでいた人たちも次々と会計を終え、最後のお客さんまで店を出ていったのです。
そのときでした。
「もういいよ!」
店長に向かって声を荒らげていた男性が、ふとレジのほうを振り返りました。
そこには、もう誰も並んでいません。
あれほど長かった行列が、すっかりなくなっていたのです。
男性は一瞬、言葉を失ったように見えました。
誰よりも急いでいると怒鳴っていたのに、結局、会計を済ませていないのは男性だけでした。
男性は何も言わず、かごをその場に置くと、足早に店を出ていきました。
店長は男性が去ったのを確認すると、新人の店員さんのところへ戻りました。
「大丈夫だった?怖かったよね」
店員さんは目元をぬぐいながら、小さくうなずきました。
その様子を見て、私もようやくほっとしました。
順番を守っていれば、とっくに会計を終えられていたかもしれません。
急いでいたはずの男性が、自分の怒りで余計に時間を使ってしまったことが、なんとも皮肉に感じられた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














