「お金を払って泊まってるんだから!」ホテルの朝食で素手でパンを戻した女性。だが、スタッフが静かに示した場所
朝食バイキングの列に割り込んだ女性
家族旅行でホテルに泊まった翌朝、私は子どもたちを連れて朝食会場へ向かいました。
バイキングの料理が並ぶ台の前には列ができていて、私たちもその真ん中あたりで順番を待っていました。
「あ、パンだ。いいにおいがする!」
「おいしそうだね。もう少しだから待ってようね」
そんな話をしていたときです。
うしろから歩いてきた女性が、突然私たちの前に割り込んできました。すぐ前にいた男性との間に、当たり前のように入ってきたのです。
驚いていると、前の男性が声をかけました。
「あの、すみません。ここ、並んでるんですけど……」
ところが女性は、ちらりと男性を見ただけでした。
「私だってお客なんだから、別にいいでしょう」
そう言って皿を手に取ると、料理を次々と山盛りにしていきます。
そしてパンのコーナーに来たとき、さらに驚くことが起きました。
女性は用意されているトングを使わず、素手でパンをつかみ始めたのです。
それだけではありません。一つ手に取っては形を確かめ、気に入らないものをかごに戻していました。
「ママ、あのパン、触ったのに戻しちゃった……」
下の子が小さな声で言いました。
私も返事に困ってしまいました。周囲のお客さんたちも、その様子を見て戸惑っているようでした。
スタッフが静かに示した場所
そこへ、女性スタッフがやってきました。パンを素手で取っている女性に気づいたようです。
「お客様、恐れ入ります。パンはこちらのトングをお使いください」
すると女性は、パンを持った手を上げ、声を荒らげました。
「うるさいわね!好きに取ってもいいでしょ!」
突然の大声に、子どもたちがびくっとして私の手を握りました。
それでもスタッフは、落ち着いた声で対応していました。
まず、女性が触っていたパンのかごを下げ、新しいものと取り替えます。
そして、待っている人たちに向かって声をかけました。
「お待たせいたしました。列の順にご案内いたします」
スタッフは先ほどの男性に「どうぞ」と声をかけ、並んでいた人たちが順番にパンを取れるようにしました。
ところが女性も、何事もなかったように新しいパンのかごへ手を伸ばそうとしたのです。
そのとき、スタッフが女性に声をかけました。
「申し訳ありませんが、お客様は最後尾からお並びください」
女性は信じられないという顔で振り向きました。
「えっ、なんで私が? 私だってお客なのよ!」
「はい。ただ、ほかのお客様も順番をお待ちですので」
スタッフは列のうしろを手で示しました。
女性は何か言いかけましたが、周囲の視線に気づいたのか、口を閉じました。
そして山盛りの皿を持ったまま、黙って列の最後尾へ歩いていったのです。
私たちも順番が来て、新しく取り替えられたパンをトングで取りました。
席に着くと、上の子がぽつりと言いました。
「やっぱり、順番はちゃんと守らないとね」
「そうだね。みんな待ってるもんね」
私はうなずき、食べ物の取り方や、みんなで使う場所でのマナーについて子どもたちと話しました。
ふと列のほうを見ると、女性はまだいちばんうしろで、皿を抱えながら順番を待っていました。
女性を怒鳴り返すこともなく、必要なことを落ち着いて伝えたスタッフ。その対応が、私にはとても印象に残りました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














