「パート代から18万出せ」サンルームの影でナスが枯れたと、新居に乗り込んできた義父。昼の畑を見て白旗
しおれたナスの枝を手に
義父がしおれたナスを手に、サンルームの戸の前に来ました
「サンルームを外せ。」
ガラス戸を開けて風を通していた土曜の昼、畑から来た義父が、ガラス戸の外の芝生に立ちました。義母も一緒です。9月も終わりの、よく晴れた日でした。
サンルームは、この春、私がパートで貯めたお金で、家の南側に付けたガラス張りの小さな部屋です。
家を建てるとき、部屋の並びから窓の数まで口を出した義父は、サンルームの設置にも反対していました。
自分の意見を聞かずに設置したのが気に入らなかったようで、それ以来、私と口をきいていません。
「このナスを見ろ。全滅だ。」
義父の手には、しおれたナスの枝が1本。
義父は、サンルームのせいで畑が昼から日陰だと言いました
「畑は昼から、ずっと日陰だ。」
サンルームを付けてから、ナスに日が当たらなくなった、去年は秋まで実ったんだ、と義父は言います。
義母は『ナスは、お父さんの楽しみだったのに』と、義父の肩を持ちました。
義父は、外す代金の18万円を私のパート代から出せと言いました
サンルームを外すのは、もう知り合いに頼んである、と義父は続けます。
「パート代から18万出せ。」
18万円は、私のパート代の2か月分です。
『でも、お日さまは南から…』と言いかけると、『嫁が畑の何を知ってる』とさえぎられました。
新居の土地は、義父が畑の一部を分けてくれたものです。ナスの株が弱り、しおれているのも事実です。
ただ、私は普段から畑の様子を詳しく見ていたわけではありません。日当たりが悪くなっているとすれば、何が原因なのかも分かりませんでした。
義父は、こちらの説明を聞こうともしません。
自分のお金で付けたガラスの部屋が、急に狭く感じられました。
18万は、私のパート代から
昼の今も日陰だと言われ、私はガラス戸の前に出ました
義父は外をよく確かめようともせずに、ガラス戸の向こうをあごで示しました。
「昼の今も、日陰だ。」
ガラス戸の向こうから、昼の日差しが差しこんでいます。私はガラス戸の前に出て、垣根の向こうにある畑のナスに目をやりました。
確かに、ナスの畝には濃い影が落ちています。
しかし、影が伸びている方向をよく見ると、気になることがありました。
「ナスの上の影を、たどってください。」
ナスの上の影は、義父の物置の足もとから続いていました
2列のナスの畝に落ちている影を南へたどると、畑の端に建つ灰色の物置につながっていました。
それは、この夏のはじめに義父が自分で建てた物置です。
物置の北側にあるナスには濃い影がかかり、その影は畝の途中まで伸びていました。
一方、畑のさらに北側にある我が家のサンルームと、ナスの畝との間には、日が当たっている地面がありました。
義父は、物置から伸びる影を目にしても、なおサンルームに原因があると言い張ります。
「サンルームの影と、つながってる!」
しかし、実際には影はつながっていません。私は、サンルームとナスの間にある明るい地面を指しました。
「ナスの手前は、日なたです。」
その時間、太陽は南寄りの空にあり、物置の影は北側の畑へ伸びていました。
少なくとも、目の前のナスに落ちている影は、サンルームではなく物置が作っていたのです。
ナスが弱った原因を日陰だけと決めつけることはできません。それでも、サンルームのせいで日が当たらなくなったという義父の主張は、目の前の光景とは食い違っていました。
義父は自分の物置の角をつかみ、何度もゆすりました
義父は麦わら帽子を脱いで畑へ戻ると、自分の物置の角を片手でつかみ、何度もゆすりました。
その場で少しでも動かそうとしたのでしょうか。しかし、しっかり設置された物置は、びくともしません。
「物置は、秋にずらす気だった。」
義父はそう言い訳をしましたが、先ほどまでの勢いはありません。
物置の位置が畑の日当たりに影響することは、義父も気にしていたようです。
それなのに、私にはサンルームの撤去費用として18万円を求めていたのでした。
義父はそれ以上、サンルームを外せとは言いませんでした。知り合いに進めていた撤去の話も、自分で断ることになりました。
義母は義父に背を向け、木戸を抜けて、ひとりで先に帰っていきました。
結局、サンルームを取り外す必要はなくなりました。
場所を見直すことになったのは、私のサンルームではなく、義父が建てた物置だったのです。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














