本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
突然取り出された爪切り
主人の母である義母は、昔ながらの考え方を強く持っている方です。
特に結婚してからというもの、私の身なり、中でもネイルには厳しく指摘されてきました。
「嫁のくせに派手な爪をして。主婦は清潔第一、目立つものはダメよ」
義母の前ではいつも控えめな色を選んでいたつもりですが、それでも彼女にとっては許せないようです。
私の仕事がネイリストだと知っていても、義母は「主婦業の邪魔」だと理解を示してくれませんでした。
ある週末、私たち夫婦と義母が一緒に食事をすることになりました。
私がいつものように淡いピンクのジェルネイルをしていると、義母は突然、私に向かって言いました。
「今日はもう見過ごせないわ。そんな爪で台所仕事ができるわけがないでしょう。私が切ってあげるから」
そう言って、義母は自分のバッグから小さな爪切りハサミを取り出しました。
目の前で私の爪を切ろうとする義母の行動に、さすがに私も動揺を隠せませんでした。
義母の言葉を封じた一言
「待ってください、お義母さん!」
私は咄嗟に手を引っ込め、深く息を吸いました。
そして、改めて説明をしました。
「お義母さんは私の仕事をご存知ですよね。これは単なるお洒落ではなく、『作品』なんです。そして、この爪は明日からの大会で審査員に見てもらう私自身なんです。」
義母は、ハサミを持ったまま動きを止めました。
義母は、私の仕事が単なる「お遊び」のようなものだと軽く見ていたのかもしれません。
顔色が変わり、口を開けたまま声が出なくなってしまいました。
「嫁のくせにネイルなんかして」という言葉は、その日から一切聞かなくなりました。
私の仕事に理解を示してくれたわけではありませんが、少なくとも私の「爪」に口を出すことはなくなったのです。その一件以来、義母は私の手をまじまじと見つめるようになりました。
それは、批判ではなく、まるで美術館で繊細な美術品を鑑賞するかのような、敬意のこもった視線へと変わっていたのです。
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