
手軽さの代償か賢い選択か。家族葬を選んだ後に押し寄せる弔問客と葬儀費用の盲点
大切な家族との別れは、ある日突然やってきます。深い悲しみに包まれる中、遺族はわずか数時間のうちに葬儀の規模やプランを決断しなければなりません。近年、多くの人が選択しているのが、親族やごく親しい友人だけで見送る家族葬です。しかし、その手軽さや費用の安さを期待して選んだ結果、後になって想定外の事態に困惑するケースが後を絶ちません。
ある55歳の女性は、84歳で亡くなった父親の葬儀を家族葬で執り行いました。父は静かな隠居生活を送っていると思い込んでいた彼女は、葬儀会社の勧めに従い、迷わず小規模な式を選択しました。ところが、事態は葬儀後に一変します。面識のない若い世代や遠方の人々から、父に線香をあげたいという連絡が相次いだのです。
実は父親は、長年地域の子どもたちに囲碁を教え、多くの人から慕われる存在でした。遺族が把握していなかった広い交流があったため、葬儀が終わってからも毎週のように弔問客が実家を訪れることになりました。そのたびに応対し、返礼品を用意する手間と費用は、当初の予想を大きく上回る負担となって彼女にのしかかったのです。
SNS上でも、この形式の是非について多くの声が上がっています。
『家族葬を選んだと分かっていてお返しの必要な弔問をする人達は、いささか配慮に欠けると思います』
このように、遺族の意向を汲み取り、静かに見守るべきだという意見がある一方で、故人との最後のお別れができなかったことへの寂しさを抱く人も少なくありません。また、経済的な面でも評価は分かれます。
『家族葬は香典が少ないため、結局持ち出しが増えるばかりです。一般葬で香典をいただいたほうが金銭的にも楽だったはず』
一般葬は初期費用こそ高いものの、多くの参列者から寄せられる香典によって、費用の大部分を賄える場合があります。対して家族葬は、参列者が限定されるために入ってくる現金が少なく、結果として喪主の自己負担額が増えてしまうリスクを孕んでいるのです。
一方で、状況に応じて家族葬を選択し、納得しているという声も存在します。
『役所の指示を理由に参列を控えてもらい、香典も遠慮してもらった。おかげで費用もかからず、手間も省けました』
やり直しがきかない人生最後の儀式において、後悔を避けるためには、親が元気なうちにエンディングノートの作成や、交友関係の棚卸しをしておくことが不可欠といえるでしょう。














