「ちょっと時間かかってるね」あとから来た客に料理が先に届いた店で、私が不満を忘れた理由
あとから来た二人には、先に料理が届いた
仕事帰り、私は友人と近所の店に入りました。店内は混んでいて、席に着くまでにも少し並びました。
注文を済ませると、私たちはその日の仕事の話をしながら料理を待っていました。
「午後のあれ、結局どうなった?」
「ああ、なんとか終わったよ」
そんな話をしていたので、最初は時間を気にしていませんでした。途中で店員さんが空いたグラスに水を注いでくれ、友人との話も次の休みの予定へと移っていきました。
ところが、私たちよりあとに入ってきた二人組の席へ先に料理が運ばれていきました。
もちろん、その二人が悪いわけではありません。ただ、皿が運ばれていくのを見ると、さすがに自分たちの料理が気になりました。
時計を見ると、注文してから20分ほど経っています。
「ちょっと時間かかってるね」
友人が小さな声で言いました。
私も同じことを思いましたが、店は混んでいましたし、もう少し待とうと考えていました。
すると、店員さんが早足でこちらへ来ました。
「お待たせして申し訳ありません。あと3分ほどでお持ちします」
「あ、大丈夫です」
先に声をかけてもらえたことで、それまで少し引っかかっていた気持ちは和らぎました。
料理を置いたあと、もう一度頭を下げた
それから間もなく、私たちの料理が運ばれてきました。
二枚の皿をテーブルに置いた店員さんは、そのまま立ち去らず、もう一度こちらに向き直りました。
「遅くなって申し訳ありません」
私は少し驚きました。
一度声をかけてもらっていたので、もうそれで十分だと思っていたからです。
「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」
友人も箸を取りながら、「ちゃんともう一回言ってくれたんだね」とつぶやきました。
そして皿を見て、私はあらためて気づきました。私たちが頼んでいた二品は、どちらも焼き物でした。
だから時間がかかったのかどうかは分かりません。
ただ、あとから来た人に先に料理が届いたというだけで、少し気持ちが焦っていたのかもしれません。
料理はおいしく、食べ始めるころには待たされたこともほとんど気にならなくなっていました。
あの日、私の気分を変えたのは、料理が数分早く出てきたことではありません。
待たせている途中だけでなく、料理を届けたあとにも、もう一度きちんと言葉をかけてくれたことでした。
今でもあの店へ行くと、ときどき二品とも焼き物を頼みます。そのたびに、あの日の店員さんの短い一言を思い出します。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














