「今日は少しお疲れですか?」いつもと違う常連客に声をかけた私、会計後に返ってきた思いがけない言葉
いつも先に声をかけてくれたお客さん
接客の仕事をしていたころのことです。レジには、何度も買い物に来てくださるお客さんがいました。
最初のころは、会計をして「ありがとうございました」と伝えるだけの関係でした。それが何度か顔を合わせるうちに、少しずつ言葉を交わすようになりました。
「今日は忙しそうだね」
そう言われて初めて、自分がずっと手元ばかり見ていたことに気づいた日もあります。
別の日には、商品を渡しただけなのに、
「いつもありがとう」
と笑ってくれました。
「いえ、こちらこそありがとうございます」
私が返すのは、そのくらいでした。それでも、その方の何気ない一言に気持ちが和らぐことが何度もありました。
いつもと少し違って見えた日
ある日、その方がレジに来たとき、いつもより声に元気がないように感じました。
聞いていいものか少し迷いました。仕事とは関係のないことですし、余計なお世話かもしれません。
それでも、会計をしながら一度だけ声をかけました。
「今日は少しお疲れですか?」
その方は一瞬驚いたような顔をしてから、小さく笑いました。
「ああ、分かる?ちょっと仕事でね」
「そうだったんですね」
私はそれ以上、詳しく聞くことはしませんでした。
すると、その方から仕事で嫌なことがあったらしい話を、二言三言だけ話してくれました。私は相づちを打ちながら聞いていただけです。
何か気の利いたことを言おうとも思いましたが、結局、助言らしい助言はしませんでした。
帰りぎわに振り返って言われたこと
会計が終わると、その方はいつものように出口へ向かいました。
「じゃあ、また」
「はい。お気をつけて」
ところが出口の手前で足を止め、もう一度こちらを振り返ったのです。
「なんか、話を聞いてもらえて少し楽になったよ。ありがとう」
そう言って笑うと、今度こそ店を出ていきました。
私は少し意外でした。本当に話を聞いただけで、特別なことは何もしていなかったからです。
でも考えてみれば、その方もそれまで何度も、忙しく働く私に「大丈夫?」「ありがとう」と声をかけてくれていました。
あの日は、いつも自分がもらっていた気遣いを、ほんの少し返せただけなのかもしれません。
その方と特別に親しくなったわけではなく、名前も知らないままでした。それでも、帰りぎわに見せてくれた笑顔は今でも覚えています。
それ以来、忙しいときほど手元だけを見るのではなく、目の前にいる人の顔を見ることを意識するようになりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














