「え、そこに入れるんだ」肉汁のついたトレイを回収箱へ入れた女性。だが、店員が正論をぶつけた結果
袋詰め台で小分けにされていく生肉
平日の夕方、三十代の私はスーパーで会計を済ませ、袋詰め台で買ったものをエコバッグに入れていました。
バッグの底には、家で洗って乾かした食品トレイが何枚か入っています。
買い物のついでに店の回収箱へ返すのが、ここ何年かの習慣でした。
ふと隣を見ると、年上に見える女性が生肉のパックをいくつも台に並べています。
女性はラップをはがすと、ロール状のビニール袋を取り、肉を一回分ずつに分け始めました。
手慣れた様子で作業を続け、やがて台の上には小さな袋がいくつも並びます。
そこまでは何となく見ていただけでした。気になったのは、そのあとのことです。
空になったトレイには赤い肉汁が残っていました。
女性はそれを数枚重ねると、そのまま台の端にあるトレイの回収箱へ入れたのです。
箱には「洗って乾かしたトレイをお入れください」という注意書きがあり、中にはすでにきれいなトレイが何枚も入っていました。
「え、そこに入れるんだ」
思わず小さく声が漏れました。
ちょうど近くで作業をしていた店員さんも気づいたようで、女性のところへ歩いてきました。
「お肉だけ持って帰ればいいでしょ」
店員さんは回収箱の前で足を止め、女性に穏やかに声をかけました。
「すみません。こちら、洗って乾かしたトレイの回収箱なんです」
女性は小分けにした肉をエコバッグへ入れながら答えました。
「だって邪魔なんだもの、お肉だけ持って帰ればいいでしょ」
店員さんは横にあるごみ箱を示します。
「汚れたものはこちらへお願いします」
すると女性は少し顔を上げました。
「いちいちうるさいわね!」
声が少し強くなりましたが、店員さんは言い返すことなく、もう一度回収箱の表示を示しました。
「申し訳ありません。回収できるのは、洗って乾かしたトレイだけなんです」
女性は注意書きを見て、しばらく黙っていました。
そして回収箱から自分が入れたトレイを取り出すと、横のごみ箱へ入れ直しました。
「…分かりました」
店員さんは「ありがとうございます」と短く頭を下げました。
私も持ってきたトレイを回収箱へ
女性がエコバッグを持って出口へ向かったあと、私は家から持ってきた乾いたトレイを回収箱へ入れました。
店員さんと目が合うと、「ありがとうございます」と軽く会釈されました。
注意書きは最初から目の前にありました。それでも、使い方を自分なりに解釈してしまうことはあるのかもしれません。
店員さんが声を荒らげず、必要なことだけを繰り返していた姿が印象に残った出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














