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2026.10.17(Sat)

「すみません、うしろから見えないんです」運動会で立ち続ける父親。誰の注意も聞かなかった男性がしゃがんだ理由

「すみません、うしろから見えないんです」運動会で立ち続ける父親。誰の注意も聞かなかった男性がしゃがんだ理由

娘のスタートが見えない

娘の運動会で、徒競走が始まるのを待っていたときのことです。

私はトラックの内側に腰を下ろし、カメラを構えていました。

ところが、画面いっぱいに映っているのは、目の前に立つ男性の背中。娘が並んでいるスタート付近が隠れてしまっていました。

この学校では、自分の子どもが走る組のときだけ、保護者がトラックの内側で応援や撮影をできる決まりでした。

ただし、内側では必ず座ること。それがルールです。

周囲の保護者はみんな地面に腰を下ろしていました。それなのに、私の前にいた父親だけが立ち上がってカメラを向けていたのです。

「すみません、うしろから見えないんです」

思い切って声をかけると、父親は振り返りもせずに答えました。

「すぐ終わるんで」

それだけ言って、カメラを構え直します。

困っていると、隣に座っていたお母さんも声をかけてくれました。

「あの、ここは座って撮る決まりですよね?」

すると父親は、小さく舌打ちをしました。

「いい写真、撮りたいんですよ。今しか撮れないんだから」

気持ちは分かります。でも、それは私たちだって同じです。

父親はさらに背伸びをして、スタートの方向へレンズを向けました。

このままでは、娘が走る姿をまともに撮れそうにありません。

スタート前に響いた男の子の声

なんとかスタート位置を見ようと、少し体をずらしたときです。

娘の隣に並んでいた紅白帽の男の子が、ふいにこちらを向きました。

そして、立っている父親を指さすと、大きな声で叫んだのです。

「パパ、すわって!うしろの人がとれないよ」

思わず私も男の子を見つめました。

目の前の男性は、あの子のお父さんだったのです。

父親は驚いたように息子のほうを見ました。

「あ、いや…」

何か言いかけましたが、言葉が続きません。

周囲の保護者からは、小さな笑い声がもれました。トラックの外の見物席からも声が聞こえます。

「えらいね、あの子」

父親は耳まで赤くなると、慌ててその場にしゃがみこみました。

ようやく視界が開け、カメラの画面に娘の姿が映りました。

ほどなくして号砲が鳴り、子どもたちが一斉に走り出しました。

私は娘の姿を追いかけ、スタートからゴールまで、見失うことなく撮影できました。

走り終えた男の子は、しゃがんでいる父親に向かって、得意そうに手を振りました。

「パパ、そのまますわっててね!」

父親は小さくうなずきました。その後は、もう立ち上がることはありませんでした。

子どもに注意されて、少し気まずそうにしていたお父さん。

その姿を見ながら、私は心の中で男の子に「ありがとう」と伝えました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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