「たかが蜂ぐらいで」隣の空き家から飛んできた蜂。ぼやく隣人に僕が見せた1枚の写真
庭で遊ばなくなった息子
夏休みに入ってすぐ、小学生の息子が急に庭で遊ばなくなった。虫取り網を持って外へ出ても、数分すると慌てたように戻ってくる。
「パパ、蜂がいる。大きいのが何匹も飛んでるよ」
息子が指さしたのは、隣の空き家だった。
持ち主は70代くらいの男性で、ふだんは別の場所に住んでいるらしく、たまにしか姿を見せない。
垣根ごしに様子を見ると、門の近くに置かれた古いタイヤのあたりを蜂が飛び回り、中へ出入りしていた。どうやら、その中に巣があるようだった。
夕飯のとき、妻にもそのことを話した。
「どこに巣がありそうなの?」
「門の近くの古いタイヤ。蜂がずっと出入りしてた」
「でも、勝手に敷地へ入って何かするわけにもいかないよね」
その通りだった。僕たちの判断で隣の敷地に入るわけにはいかない。そこで翌朝、庭の物干しや息子の自転車の近くを蜂が飛んでいる様子を、写真に残しておいた。
「たかが蜂ぐらいで」とぼやいた持ち主
お盆を過ぎたころ、隣の門が開く音がした。見ると、持ち主が帰ってきていた。
僕は外へ出てあいさつをし、古いタイヤのあたりを蜂が出入りしていることと、こちらの庭にも何匹も飛んできていることを伝えた。
「はあ……わかりましたよ」
男性はそう答えたものの、門のほうを見ながら「たかが蜂ぐらいで…」と小さくつぶやいた。少しして、もう一度同じようにぼやく声が聞こえた。
僕は言い返さず、撮っておいた写真を見せた。
「これ、うちの庭です。息子も怖がって、この夏ほとんど外で遊べていなくて」
男性は写真をしばらく見つめたあと、何も言わなくなった。
「……わかった。業者に見てもらうよ」
翌日、男性が呼んだ駆除業者がやって来た。確認してもらうと、やはりタイヤのところに巣があり、業者はそのまま取り除いた。
「刺される前に処理できてよかったです。使っていないタイヤなら、片づけておくと安心ですよ」
男性は「そうですか」と短く答え、その日のうちにタイヤを運び出した。
夕方には、うちの門の前まで来て頭を下げた。
「知らせてくれて、助かったよ」
その週末、息子は久しぶりに虫取り網を持って庭へ出ていった。しばらく周りを見回したあと、うれしそうにこちらを振り返った。
「パパ、今日は蜂、飛んでこないね」
その声を聞いて、ようやく僕もほっとした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














