tend Editorial Team

2026.08.27(Thu)

「休み時間が削られるんだよ」毎月ぼやく夫。だが、助手席の下で見つけた空の袋に笑った理由

「休み時間が削られるんだよ」毎月ぼやく夫。だが、助手席の下で見つけた空の袋に笑った理由

助手席の足元から出てきた、空の袋

夫の車で出かけた日のことです。助手席に座って足を動かしたとき、靴の先に何かが当たりました。

拾い上げてみると、シートの下から出てきたのは紙の袋でした。

中にはお菓子が入っていたらしく、残っているのは小さな包み紙だけ。それもきれいにたたまれていました。

見覚えのない袋でしたが、すぐに思い当たることがありました。

夫の職場には、月に何度か保険の担当者が来るそうです。

夫はその話を家でするたび、少し面倒そうにしていました。

「保険の人が来ると休み時間が削られるんだよ。お菓子とかもくれるけど、別にいらないし」

私はそのたびに、「そんなに嫌なら断ればいいのに」と返していました。

けれど夫は、「職場に来るから、なかなか断りにくいんだよ」と言います。

夫は昼休みになると、一人で車に戻って少し横になるのが習慣です。その時間を使われるのが嫌なのだろうと、私はずっと思っていました。

信号で車が止まったとき、私は拾った袋を夫に見せました。

責めるつもりはありません。ただ、空っぽになった袋を見ていたら、つい笑ってしまいました。

「お菓子はおいしかった?次は私の分ももらってきて」

夫は一瞬こちらを見て、少し気まずそうに笑いました。

「見つかったか」

嫌なのは、お菓子ではなかった

夫は少し間を置いてから言いました。

「あれ、けっこううまいんだよ」

私は思わず笑いました。あれだけ「いらない」と言っていたのに、包み紙まできれいにたたんで持ち帰っていたからです。

すると夫は、言い訳するように続けました。

「休み時間が短くなるのは嫌なんだよ。でも、話してみたら別に嫌な人でもないし」

そこでようやく分かりました。

夫が嫌がっていたのは、保険の担当者そのものでも、お菓子でもありません。昼休みにゆっくりできなくなることが、一番嫌だったようです。

家では文句の部分ばかり聞いていたので、私は全部が嫌なのだと思い込んでいました。

次の月、私の分も増えていた

それからしばらくして、夫が仕事から帰ると、玄関で紙の袋を差し出してきました。

前に車で見つけたものと同じ袋です。

「これ、君の分」

中には、まだ手をつけていないお菓子が入っていました。

「本当にもらってきたの?」

私が笑うと、夫も少し照れたように笑いました。

その後も夫は、保険の担当者が来た日は「今日も昼休みが短くなった」とこぼします。けれど、ときどきお菓子も持って帰ってくるようになりました。

嫌だと言っていることが、何もかも嫌なわけではない。

夫の愚痴を聞くたび、私はあの空っぽの袋を思い出します。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.08.27(Thu)

「隣の方には注意しないでください」夜中の音に悩んだ私。だが、管理会社が提案した方法で救われた
tend Editorial Team

NEW 2026.08.27(Thu)

「割り込まないでください」混雑したレジ。だが、順番を抜かした客が明かした小さな悩みとは
tend Editorial Team

NEW 2026.08.27(Thu)

「え、そこ焦げたの?」友人の結婚式。だが、カメラを構えた私に待っていた思わぬトラブルとは
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.11.23(Sun)

大谷翔平選手が「ファミリー財団」設立を発表!真美子さん、長女、デコピンとの家族ロゴに反響広がる
tend Editorial Team

2025.10.27(Mon)

社会民主党副党首・大椿ゆうこ氏、国会でのヤジ問題に対し「ただ聞くのは認めた事」と持論を展開。ネットでは「知る権利を侵害す...
tend Editorial Team

2026.05.27(Wed)

観光バブルの裏で露呈する沖縄の構造的赤字と資産形成の難題、ピケティ理論から経済学者・竹中平蔵氏が導き出した真の再生プラン
tend Editorial Team