「順番なんか知るか、海の見える席にしろ」ホテルの朝食会場で怒鳴った男性。だが、結局中央の席を選んだ理由
朝8時、ホテルの朝食会場に響いた怒鳴り声
海辺のホテルに家族で泊まった翌朝のことです。
朝8時、私は妻と息子を連れて朝食会場へ向かいました。
「ねえ、窓際の席に座れるかな?」
息子は海を眺めながら食事をするのを楽しみにしていました。
ところが、会場の入口には列ができています。私たちの前には40代くらいの男性が1人。
その後ろにも人が続き、私たちを含めて10組ほどが待っていました。
入口には、窓際の席は希望した順に案内すると書かれた札がありました。
「順番だから、待っていようね」
妻が息子に話しかけていたとき、前の男性が受付の女性に声を荒らげました。
「もう20分も待ってるんだぞ!窓際はまだ空かないのか?」
受付の女性は申し訳なさそうに頭を下げました。
「申し訳ございません。窓際のお席は現在満席でして、順番にご案内しております」
「だから、その順番はいつ来るんだよ!」
ちょうど会場の中では、スタッフが窓際のテーブルを片づけていました。
それを見た男性は、受付の台に手をついて身を乗り出しました。
「あそこ、空いたじゃないか!」
「そちらも先にお待ちのお客様がいらっしゃいまして…」
「順番なんか知るか、海の見える席にしろ」
突然の大声に、周囲が静まり返りました。
受付の女性は言葉に詰まり、手にしたペンが震えています。
後ろにいた小さな女の子も、驚いて母親の陰に隠れてしまいました。
「先に6組いらっしゃいます」その説明に男性は
そこへ、50代くらいの女性のマネージャーが会場の中から出てきました。
受付の女性から名簿を受け取り、男性に向き直ります。
「お待たせして申し訳ございません。窓際のお席についてですが、お客様の前に6組お待ちいただいております」
男性は眉をひそめました。
「はあ?俺がここの先頭に並んでるだろ!」
マネージャーは落ち着いて答えました。
「はい。ただ、窓際のお席は別の順番になっておりまして。先の6組のお客様は、すでに中央のお席でお食事をしながらお待ちなんです」
つまり、男性は入口の列では先頭でも、窓際を希望する客の中では7番目だったのです。
男性は会場の中を見回しました。
「…じゃあ、あの席が空いても、俺は座れないってことか?」
「申し訳ございません。窓際のお席は、先にお待ちのお客様からご案内しております。ただ、中央のお席でしたら今すぐご案内できます」
男性は何か言いかけましたが、口を閉じました。
すると、私の隣にいた息子がぽつりと言ったのです。
「じゃあ、ぼくたちは8番目だね」
思いのほか声が響き、後ろの列から小さな笑い声が漏れました。
男性はちらりとこちらを振り返り、少し気まずそうに視線を落としました。
「……もういいよ。中央で」
先ほどまでの怒鳴り声が嘘のような、小さな声でした。
男性は案内係について、静かに会場へ入っていきました。
その後、私たちも中央の席で朝食を始め、しばらくして窓際の席へ移ることができました。
息子は窓に顔を寄せ、うれしそうに海を眺めています。
ふと会場を見ると、あの男性が中央の席で食事を終え、出口へ向かうところでした。
20分も待って苛立つ気持ちは分かります。ただ、ほかにも待っている人がいる以上、自分だけを優先してもらうわけにはいきません。
大声を上げる男性にも冷静に説明を続けたマネージャーの姿が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














