「事故の後始末でまだ金がいるんだ」いとこに貸した50万円。正月の親族の前で明らかになった別の金銭事情
事故を理由に頼まれた50万円
去年の秋、夜遅くに40代のいとこから電話がありました。
正月にはいつも顔を合わせ、一緒に酒を飲む間柄です。
50代の私は、いつもと違う切羽詰まった声に驚きました。
「車で事故を起こしちまって…。急に金が必要になったんだ。頼めないか」
「事故って、けが人は?大丈夫なのか?」
「その話はまたするから。頼む、急いでるんだ。明日までに何とか…」
いとこが頼んできたのは50万円でした。
詳しい事情は聞けませんでしたが、事故で困っているなら放っておけません。迷った末、翌朝、指定された口座へ50万円を振り込みました。
ところが、それきりいとこからの連絡は途絶えました。
お礼もなければ、事故がどうなったのかという説明もありません。
無事に片づいたのならいい。そう思おうとしていた年末、親族の一人から気になる話を聞きました。
いとこが秋ごろに投資の取引で大損し、借金を抱えているらしいというのです。
時期は、あの電話があったころと重なっていました。
ただ、その話だけでは、貸した50万円が何に使われたのかまでは分かりませんでした。
正月の席で、叔母が口にした話
正月、叔母の家に親族が8人ほど集まりました。
座敷の長い座卓には、上座に叔父、端に私。向かいにはいとこが座り、その隣に叔母がいました。
いとこは乾杯のときから、私と目を合わせようとしません。
そろそろお開きというころ、私は座卓越しに声をかけました。
「なあ、あの50万円のことなんだけど。返せそうか?」
すると、いとこは笑いました。
「いやあ、事故の後始末でまだ金がいるんだ。50万円は、もうちょっと待ってくれよ」
そう言って、軽く手を振ります。
まるで、正月早々お金の話を持ち出した私のほうが悪いと言わんばかりの態度でした。
親族の何人かがこちらを見ています。
私はいとこの隣に座る叔母に顔を向けました。
「叔母さん、事故のことは聞いてましたか?」
「事故?何の話?」
叔母は驚いた顔で、隣の息子を見ました。
「あんた、去年の秋は取引で損をしたって、お父さんに泣きついてきたじゃない。事故なんて聞いてないわよ」
その瞬間、いとこの笑顔が消えました。
私は改めていとこに尋ねました。
「俺には事故を起こしたって電話してきたよな。翌朝、50万円を振り込んだ。あれは、取引で損をしたから必要だったのか?」
いとこは何か言いかけましたが、結局うつむいてしまいました。
座敷が静まり返る中、叔父が湯のみを置きました。
「お前、事故だって嘘をついて借りたのか?」
いとこは答えず、下を向いたままでした。
座卓に置かれた一枚の紙
しばらく沈黙が続いたあと、叔父が紙とペンを座卓に置きました。
「返すつもりはあるんだろう。だったら、毎月いくら返すのか、いつから返すのか、ここに書きなさい」
いとこは小さくうなずき、ペンを取りました。
そして、震える手で「毎月2万円、2月から」と書いたのです。
「……すまなかった」
そう言って紙を私のほうへ差し出し、深く頭を下げました。
私は書かれた数字を確認し、紙を折りたたんで財布にしまいました。
叔母は隣の息子から目をそらし、叔父は黙っていとこを見つめていました。
結局、50万円が何に使われたのか、詳しい説明はありませんでした。
それでも、事故を理由に借りたお金について、ようやく返済の約束を形にすることができました。
もちろん、紙に書いただけでは返済が終わったわけではありません。
ただ、何の連絡もないまま待ち続けていたころに比べれば、一つ区切りがついたように感じた正月でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














