「着てないから返品して」と5千円の服を持ち込んだ客。だが、服についた証拠で嘘が露呈
紙袋から立ちのぼった香水
大学生のころ、私は服の店でレジのアルバイトをしていました。
平日の夕方、カウンターの内側で服をたたんでいると、50代くらいの女性客が紙袋を持ってやってきました。
袋から出てきたのは、数日前にこの店で買ったという5千円ほどのカットソーです。
「家で合わせてみたら、イメージと違ったの。着てないから返品して」
そう言って、女性客はレシートを差し出しました。
ところが商品を見ると、タグはすでに切り取られていました。
さらに、えり元にはファンデーションのような肌色の跡があり、袖口からは香水の香りもします。
私は商品を確認してから、女性客に伝えました。
「申し訳ございません。タグが外れていて、えり元にもお化粧の跡がございますので、こちらは返品をお受けできません」
すると女性客は表情を変えました。
「着てないって言ってるでしょ。レシートもあるじゃない!」
声が大きくなり、後ろには会計を待つ客が2人並び始めました。
「着ていない」から変わった説明
私が対応に困っていると、奥の事務所から30代後半くらいの女性の店長が出てきました。
「ありがとう。ここは代わるね」
店長は私の横に立つと、カットソーを手に取って状態を確かめました。
女性客は、店長にも強い口調で言いました。
「こんな店二度と来ないわよ。5千円返して」
店長は声を荒らげることなく、えり元を見せながら答えました。
「こちら、えり元にお化粧の跡がついております。袖口からは香水の香りもしますので、この状態では返品をお受けできません」
女性客はすぐに言い返しました。
「だから、それは家でちょっと試しただけよ」
その言葉を聞いて、私は思わず女性客を見ました。
さっきまでは、「一度も着ていない」と話していたはずです。
店長も少し間を置いてから、静かに確認しました。
「先ほどは、着ていないとおっしゃっていましたよね」
女性客は返事をせず、レシートを持ったまま黙り込みました。
店長はそれ以上追及せず、カットソーをきれいにたたんで紙袋へ戻しました。
「申し訳ございませんが、この状態の商品は返品をお受けできません。こちらはお持ち帰りをお願いいたします」
女性客はしばらく何も言いませんでしたが、やがて紙袋をつかむと、そのまま店を出ていきました。
店長は待たせていた2人の客に頭を下げ、それから私に小さな声で言いました。
「さっきの説明で大丈夫だったよ」
緊張していた私は、その言葉を聞いてようやく肩の力が抜けました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














