tend Editorial Team

2026.10.10(Sat)

「まだ1歳半よ、謝るほどのことじゃないでしょ」頭を打った息子の横で笑う母親に、職員が伝えた一言

「まだ1歳半よ、謝るほどのことじゃないでしょ」頭を打った息子の横で笑う母親に、職員が伝えた一言

息子が頭を打ったのに、笑っていた母親

長男が小さかったころ、私は子育て支援センターによく通っていました。

昼どきになると、マットが敷かれた部屋には数組の親子が集まります。

そこでよく顔を合わせていたのが、30代くらいの母親と、その娘でした。

娘は長男とほぼ同じころに生まれた子で、会えば自然と近くで遊ぶような仲でした。

ある日、長男が窓ぎわでボールを転がしていたときのことです。

突然、その娘が走ってきて、両手で長男を勢いよく押したのです。

長男はあおむけに倒れ、床にあったおもちゃの角に後頭部をぶつけました。

次の瞬間、大きな泣き声が部屋に響きました。

私は慌てて長男を抱き起こしました。後頭部をそっと触ると、小さなふくらみがあります。

「大丈夫? 痛かったね…」

心配で胸がいっぱいになっていると、棚の前で一部始終を見ていた母親が笑いながら言いました。

「あら、ドンしちゃった。仲よしだもんね」

その反応に、私は驚きました。

母親は娘の手を引いて近づくと、さらにこう続けたのです。

「子ども同士のことだもん。気にしないでね」

「でも、頭を打っていて…」

私がそう伝えると、母親は少し不満そうな顔になりました。

「まだ1歳半よ、謝るほどのことじゃないでしょ」

確かに、まだ小さな子どもです。悪気があって押したとは限りません。

でも、実際に長男は頭を打ち、こんなに泣いています。

せめて「大丈夫?」と心配してほしかったのです。

言い返したい気持ちもありましたが、今は長男のほうが心配で、それ以上言葉が出ませんでした。

一部始終を見ていた職員の言葉

そのとき、部屋のすみで見守っていた50代くらいの女性職員が、流しでぬらしたタオルを持ってきてくれました。

私のそばにしゃがみ、長男の頭を確認すると、ふくらんだところにそっとタオルを当ててくれました。

そして、母親のほうを向いて言いました。

「私も見ていました。お嬢さんが走ってきて、両手で押したんです。頭も打っていますからね」

母親は少し戸惑ったように答えました。

「でも、まだ小さいから…」

すると職員は、落ち着いた声で続けました。

「そうですね。まだ自分では、うまく謝れない年齢ですよね。でも、だからこそ、お母さんから一言あるといいと思いますよ」

母親は黙ってしまいました。

周りで遊んでいた親子も、何となくこちらに目を向けています。

しばらくして、母親は小さな声で言いました。

「……すみませんでした」

先ほどまでの笑顔は消えていました。

職員は今度は娘の前にしゃがみ、目線を合わせて優しく声をかけました。

「お友だちを押すと、痛いんだよ」

そのころには、長男もようやく泣きやんでいました。

母親はそれ以上何も言わず、荷物をまとめると、いつもより早く娘を連れて帰っていきました。

私が求めていたのは、大げさな謝罪ではありません。

小さな子ども同士のことだからこそ、けがをした相手を気遣う言葉があってもいいのではないか。

あのとき職員が落ち着いて伝えてくれた言葉は、今でも心に残っています。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.10(Sat)

「私ならちょっと無理かも」私が出産した産院を口コミで否定するママ友。最後に本人が選んだ場所に唖然
tend Editorial Team

NEW 2026.10.10(Sat)

「ニットはすぐ縮むんだから」母の忠告を聞かずに洗濯した私。翌週、職場でおしゃれな先輩が真剣に尋ねてきた理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.10(Sat)

「仕事があるから、景品の30袋はお願いね」2回続けて係を押しつけたママ友が、6人の保護者の集まりで黙った理由
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.08.19(Wed)

「子どもがもう待てないみたい」朝食ビュッフェの列に横から入った女性。だが、スタッフの一言で空気が一変
tend Editorial Team

2026.07.02(Thu)

高校野球の丸刈り廃止で見えたサラサラ球児の衝撃と伝統の行方!自由な選択がもたらすスポーツ界の新たな価値観とは
tend Editorial Team

2025.08.19(Tue)

「20年前のお土産渡し忘れてた」友人の告白に感動。ハローキティの箸に書かれていた「健康開運」が投稿主の心に刺さる
tend Editorial Team