「子どもなんて、そんなものでしょ」朝食会場を走る息子を止めない母親。だが、ジュースが服にこぼれた直後の一言
走り回る男の子を、止めない母親
旅行先のホテルで朝食バイキングを利用したときのことです。料理を選んでいると、通路から子どもの足音が聞こえてきました。
小さな男の子が、料理を運ぶお客さんの間を走っています。
コーヒーを持った男性は、ぶつかりそうになって慌ててカップを持ち上げました。
「見て、はやいよ!」
私はサラダとパンをのせたトレーを持ち、席へ戻ろうとしていました。
すると男の子が急に目の前に出てきたのです。
「わっ、危ない!」
トレーを胸元に引き寄せ、なんとかよけました。
近くの席に座っていた男の子の母親らしい女性は、こちらを見ましたが、立ち上がる様子はありません。
私が席に着いたころ、通路を挟んだ席にいた年配の女性が、母親に声をかけました。
「すみません。お子さん、走ると危ないですよ」
「子どもなんて、そんなものでしょ」
「飲み物を運んでいる人もいますし…」
「だったら、そちらが気をつけてくださいよ。旅行なんだから、はしゃぐくらいいいじゃないですか」
母親は少し声を強めました。年配の女性はそれ以上何も言わず、周りのお客さんも男の子が通るたびに足を止めていました。
母親のトレーにぶつかったのは
しばらくして、母親が料理を取りに立ちました。トレーには皿が重ねられ、リンゴジュースをいっぱいに注いだコップものっています。
席へ戻ろうとしたそのとき、角から走ってきた男の子が、母親のトレーに正面からぶつかりました。
コップが倒れ、ジュースが母親のブラウスにこぼれました。
「ちょっと、もう!何してるの!」
母親が大きな声を出すと、男の子はびくっとして立ち止まりました。
さっきまで「そちらが気をつけて」と言っていた母親自身が、ぶつかられてしまったのです。
そこへ若い男性スタッフが、おしぼりを持って駆け寄ってきました。
「お怪我はありませんか?」
「あ、大丈夫です…」
スタッフはおしぼりを差し出すと、男の子にも目を向け、穏やかに言いました。
「恐れ入りますが、お子様と一緒に、ゆっくり歩いていただけますか」
母親は口を開きかけましたが、何も言わずにおしぼりを受け取りました。そして、ブラウスを拭きながら男の子の手を取ったのです。
それからは、二人で手をつないで料理の台の間を歩いていました。
私は席でパンをちぎりながら、ようやくほっとしました。通路の向こうの年配の女性が、こちらを見て小さくうなずきました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














