「母さんは俺が高校のとき、毎朝五時に起きてたよ」我が家と実家を比べる夫→文句を母にまで言う姿に絶句
空の弁当箱を置いていく夫
若いうちに結婚して、子どもが生まれてからの毎日は嵐のようでした。夜泣きで一時間おきに起こされ、朝はまぶたも開きません。
その朝も、私は子どもを抱いたまま台所に立てずにいました。元夫は空の弁当箱を流しに置いて、こう言ったのです。
「姉さんなら毎日弁当も作れるのにな」
「今日はごめん。夜、ほとんど寝てなくて」
「母さんは俺が高校のとき、毎朝五時に起きてたよ」
この人の口から義母と義姉の名前が出るのは、もう何度目か分かりませんでした。掃除も洗濯も食事も、基準はいつもその二人なのです。
「なんでだよ。俺は働いてるんだぞ」
たまには自分でおにぎりを握ってみたら、と返すたびにそう言われます。
そうなると、私はもう黙るしかありませんでした。
抱っこ紐のまま台所に立って、冷めたご飯を詰める。それがこの家の当たり前になっていたのです。
「私はお義姉さんじゃないよ」
初めて言い返したのは、その朝でした。
元夫は黙って部屋を出ていき、そのあと、廊下から声が聞こえてきたのです。
「お義母さん、娘さん、こんなこともやってくれないんですよ」
私の母に電話をかけて、私の愚痴を言っていました。
子どもを抱いたまま、私はその場から動けませんでした。
母の一言と、幕を引いた朝
その週末、母がうちに来ました。玄関に立ったまま、元夫にまっすぐ言ったのです。
「うちの娘は、あなたのお母さんの代わりじゃありません」
元夫は笑って受け流そうとしました。
「いやあ、ちょっと言ってみただけで」
「言ってみただけの電話を、人の母親にかけますか。文句があるなら、私にではなく娘に言ってください。それが夫婦でしょう」
笑顔がすっと引きました。「それは、その」と言いかけたまま、あとが続きません。
元夫は返す言葉を探すように口を動かし、結局うつむいてしまいました。玄関先の空気が、しんと静まったのを覚えています。
私は、ずっと言えなかった一言を口にしました。
「比べたい人がいるなら、その人と暮らして」
「……本気で言ってる?」
うなずいた私に、元夫はもう何も返せませんでした。迷いは、不思議なくらいありませんでした。
離婚の話し合いは、あっけないほど早く終わりました。最後まで元夫は「実家に戻れば全部やってもらえるしな」とこぼしていて、その言葉に、私は自分の選択が正しかったと確信したのです。
子どもを抱いて家を出た朝、母が車のドアを開けて待っていました。
「これからは、誰とも比べなくていいからね」
朝の風が、驚くほど軽く感じられました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














