「そっちが打ち間違えたんだろう?」病院の会計で怒鳴る男性。だが、上長が明細の一行を指さした瞬間、態度が一変
会計の窓口で響き始めた怒鳴り声
定期的に通っている病院での出来事です。
診察を終えて会計に向かうと、その日は会計の機械に不具合が出ているとの掲示がありました。
私は待合の長いすに腰を下ろし、自分の順番を待っていました。
しばらくすると、会計窓口から男性の声が聞こえてきました。
見ると、年配の男性が明細らしき紙を手に、窓口の職員と話しています。
最初は首をかしげていた男性でしたが、次第に声が大きくなっていきました。
「ちょっと、これ、おかしくないか?」
「どちらでしょうか。確認いたしますね」
「今日もいつもと同じだったんだよ。なのに、なんでこんなに高いんだ?」
どうやら、会計の金額に納得がいかないようです。
「本日の明細を確認しながら、ご説明しますので…」
「いや、説明じゃなくてさ。そっちが打ち間違えたんだろう?」
職員が話し終える前に、男性は言葉をかぶせました。
「だって、いつもと同じ診察だぞ?何も変わったことはしてないんだよ!」
男性は窓口に身を乗り出し、明細を指さしています。
職員は何とか説明しようとしていましたが、男性は途中で遮ってしまいます。ほかの職員も代わる代わる対応していましたが、話はなかなか進みません。
待合にまで響く大きな声に、私も思わず肩をすくめました。
金額に疑問があるのは分かります。でも、せめて最後まで説明を聞けばいいのに。そう思いながら、私は窓口の様子を見守っていました。
上長が示した明細の一行
そこへ、奥から上長らしい男性職員が出てきました。
職員から明細を受け取って目を通すと、男性に向かって静かに声をかけました。
「お待たせしました。こちらをご覧いただけますか」
「だから、金額がおかしいって言ってるんだよ」
まだ納得していない様子の男性に、上長は明細の一行を指で示しました。
「診断書の作成料が含まれております」
「……え?診断書?」
それまで大きな声を出していた男性が、ぴたりと口を閉じました。
上長は続けて説明しました。
「はい。本日ご依頼いただいた診断書の分です。こちらが通常の診察分で、追加になっているのは書類の作成料ですね」
「ああ……そうか」
男性は明細に目を落としたまま、小さくつぶやきました。
どうやら、男性は自分で診断書を依頼していたものの、その料金が会計に含まれていることを忘れていたようです。
つい先ほどまで「何も変わったことはしていない」と言い張っていた男性は、もう職員に食ってかかることもありません。
周囲の人たちも、何が起きたのか分かった様子でした。少し離れたところで順番を待っていた別の男性が、小さく首を振っているのが見えました。
「……分かったよ」
男性はそれだけ言うと、黙って支払いを済ませました。そして、うつむき加減のまま病院を出ていきました。
上長は対応していた職員たちに小さくうなずき、奥へ戻っていきました。
ようやく待合に静けさが戻り、しばらくして私の名前が呼ばれました。
会計に疑問を感じることは、誰にでもあると思います。ただ、最初から間違いだと決めつけず、相手の説明を聞くことも大切なのだと感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














