「後ろがつかえてるのよ」ホテルの朝食で私の背中をトレーでつついた女性客。だが、駆けつけたスタッフが伝えた一言
朝食の列で何度も背中に当たるトレー
旅行先のホテルで迎えた朝のことです。朝食会場は思っていた以上に混み合っていました。
料理は入口に近いほうから、サラダ、主菜、スープ、デザートと並んでいます。宿泊客はお皿を手に列を作り、順番に料理を取っていました。
私も列に並び、前の人に合わせて少しずつ進んでいました。料理の種類が多く、何を食べようかと目移りしていたときです。
突然、背中にコツンと硬いものが当たりました。
混んでいるから、たまたまぶつかったのだろうと思いました。ところが、少しするとまた同じ場所に何かが当たります。
振り返ると、後ろに並んでいた女性が、持っているトレーの縁を私の背中に押し当てていました。
女性は不機嫌そうな顔で、私を見ています。
「ねえ、もう少し早くしてくれる?」
「あ、すみません。でも、前の方がまだ……」
前の人は料理を選んでいる最中で、私もそれ以上進めない状態でした。
それでも女性は納得していない様子です。前を向くと、また背中をコツコツとつつかれました。
「後ろがつかえてるのよ」
私だって早く進みたいのに、どうすることもできません。せっかくの旅行の朝なのに、すっかり気分が沈んでしまいました。
トングを横取りした女性にスタッフが注意
ようやく前の人が進み、私の番になりました。
サラダを取ろうとトングに手を伸ばした、その瞬間です。
横から女性の腕が伸びてきて、私より先にトングをつかんだのです。
「遅いから、こっちが先ね」
女性はトレーに載せた自分のお皿へ、次々とサラダを盛り始めました。
「ちょっと待ってください。私が先に並んでいたんですけど…」
「だって、なかなか進まないんだもの」
女性はそう言って、料理を取る手を止めません。
困っていると、トングの補充に来た若い男性スタッフが通路側から近づいてきました。
スタッフは、女性が私の前に腕を伸ばしている様子を見て、足を止めました。
「お客様、どうかなさいましたか?」
私は少しためらいながらも、事情を伝えました。
「あの、私が先に並んでいたんですけど、こちらの方が先に取られてしまって…」
すると女性が、すぐに言い返しました。
「だって、この人が遅いんですよ。ずっと待ってたんですから」
スタッフは女性の話を聞くと、落ち着いた声で伝えました。
「お待たせして申し訳ありません。ただ、こちらは順番にお取りいただいております。前のお客様が終わるまで、お待ちいただけますか」
「……はい、分かりました」
女性は不満そうな表情を浮かべましたが、それ以上は言い返しませんでした。
手にしていたトングを置き、私の後ろへ下がりました。
スタッフは私に向き直り、軽く頭を下げました。
「失礼いたしました。どうぞ、お取りください」
「ありがとうございます」
私はスタッフから新しいトングを受け取り、ようやくサラダをお皿に盛ることができました。
女性のさらに後ろに並んでいた男性客も、私と目が合うと小さくうなずいてくれました。
背中を何度もつつかれたときは、どうしようかと戸惑いましたが、スタッフが間に入ってくれてほっとしました。
女性を強く叱りつけるわけでもなく、順番を守るよう静かに伝えたスタッフ。その落ち着いた対応のおかげで、私も安心して朝食を選ぶことができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














