「近くに引っ越しておいでよ」圧をかける義母。だが、引っ越したあとの義母のアポ無し訪問に絶句
「引っ越しておいで」の圧
「近くに引っ越しておいでよ」
義母のその言葉を、私は結婚してから何度聞いたか分からない。
日帰りでは会えない距離に住んでいたころから、それはほとんど口ぐせだった。
正直に言えば、私はずっと気が進まなかった。義母を嫌っているわけではない。
ただ、近すぎる距離が、自分たちの生活をのみ込んでしまう気がしていたのだ。
ところが夫の転勤で、私たちは義母の家から車ですぐの町に引っ越すことになった。
義母は電話口ではしゃいでいた。
「これで毎週会えるわね」
その声を聞きながら、私の胸には小さな不安が広がっていた。
週1の突撃が始まる
予感は、すぐ現実になった。
引っ越して間もなく、義母は週に一度のペースで、連絡もなしに玄関先へ現れるようになった。
買い物帰り、散歩のついで、理由はさまざまだった。
けれど共通していたのは、いつも前触れがないことだ。
洗濯物を抱えたまま応対することもあれば、子どもを寝かしつけた直後にインターホンで起こされることもあった。
自分の家なのに、気を抜ける時間が消えていく。
(今日も、心の準備がないまま……)
誰かに相談しても解決する話ではない気がして、私はモヤモヤを一人で抱え込んでいた。
それでもある夜、限界を感じて夫に打ち明けた。
「急に来られると休む時間がなくて、つらいの」
二人で決めたルール
夫は、私の話をさえぎらずに最後まで聞いてくれた。そして、思いのほかきっぱりと言った。
「それ、俺からもちゃんと母さんに言うよ。二人で決めたことなら、母さんも聞くはずだ」
次に義母がアポなしで訪ねてきた日、私は玄関で夫と並んで立った。そして、勇気を出して自分の言葉で伝えた。
「せめて連絡してから来て」
義母の表情が、一瞬こわばった。
「あら、水くさい……」と言いかけた義母に、夫が静かに続けた。
「これは二人で決めたことだ」
義母は、反論しようと口を開きかけ、けれど言葉を探すように視線を落とした。夫と私が同じ方を向いていると、その場ではっきり伝わったのだと思う。
「……分かったわ。次からは電話するわね」
やがて義母は、ばつが悪そうにそう言って頷いた。
それからというもの、週1の突撃はぴたりとやんだ。今は必ず、前もって連絡が入る。「日曜の午後、寄ってもいい?」そのひと言があるだけで、私は笑顔で玄関を開けられる。
距離を置きたかったわけじゃない。ただ、心の準備をする時間がほしかっただけ。二人で引いた小さな線が、義母との関係をむしろ穏やかにしてくれた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














