「俺だけが悪いわけじゃないでしょ」自転車で追突しヘラヘラ笑う男。だが、男が態度を変えて謝ったワケ
響いたベルの音
スーパーからの帰り道、歩道の端を歩いていた私の背後で、けたたましいベルの音がした。
振り返る間もなく腰に衝撃が走り、気づいたときには地面に倒れていた。
買い物袋の中身が散らばり、膝がじんじんと痛む。立ち上がろうにも足に力が入らず、道の端でしばらく動けなかった。
ぶつかってきた自転車の男は、降りようともせず、サドルにまたがったまま薄笑いを浮かべていた。
「当たっちゃいました」
吐き捨てるようなその一言に、背筋が寒くなった。血がにじむ私の手を見ても、悪びれる様子がまるでない。
このまま帰されてはたまらないと、私はその場で警官を呼んだ。
食い下がる男
やってきた警官が、双方から話を聞き取っていく。私が歩いていた位置、男が追い抜こうとした状況。
ひとつずつ確認が進むほど、男は苛立ちを隠さなくなった。
「歩行者だって急に寄ってきたんですよ。俺だけが悪いわけじゃないでしょ」
自分にも言い分がある、とばかりに男はまくし立てた。けれど、私は寄ってなどいない。ただまっすぐ歩いていただけだ。
言い返す気力も失せて、私はただ警官の判断を待った。
下された結論
ひととおり聞き終えた警官は、静かに、しかしはっきりと男に告げた。
「怪我をさせて申し訳ないという気持ちはないんですか?」
後方から追い抜く側に安全確認の義務がある。歩行者に落ち度はない。
そう説明された瞬間、男の薄笑いが凍りついた。「そんな…」と言いかけて、続きを飲み込む。目が泳いでいた。さっきまでの威勢のよさは、跡形もなく消えていた。
ようやく「すみませんでした」と頭を下げた。その声は、最初のへらへらした態度とは別人のように小さかった。
連絡先を交わし、後日の対応を約束させた。ごねる相手にも、きちんと筋は通る。泣き寝入りせずにすんで、散らばった買い物を拾い直す私の手に、もう迷いはなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














