「その前に聞いてほしいことがあって」長話が止まらないママ友。だが、勇気を出して話を遮った結果
気配り上手な、話の長い彼女
幼稚園で知り合ったママ友は、誰にでも優しい。困っている人がいれば真っ先に声をかける、そんな人だ。ただ、おしゃべりだけは別格だった。一度始まると、話がどこまでも続く。
「そういえば、うちの上の子が水泳を始めてね」
信号待ちのわずかな時間でも、彼女の話題は次々に生まれる。
私は元来、人の話を途中で遮るのが苦手だ。だから、いつも聞き役に回ってしまう。
「それでね、下の子の離乳食がまた進まなくて。この前なんて、せっかく作ったのを全部ひっくり返されて…」
うんうん、と相槌を打つ。話は他愛なくて、決して不愉快ではない。ただ、終わりが見えないだけなのだ。
「この後ちょっと用事が…」
「あ、私も習い事の送りがあって。でもその前に聞いてほしいことがあって…」
予定の時間はどんどん押していく。気づけば三十分、道端で立ち話が続いていることも珍しくない。
子どもがぐずっても、話の流れは止められなかった。角を立てたくない一心で、私は今日も曖昧に笑ってうなずいていた。
(このままだと、私の一日が全部おしゃべりで消えちゃう)
笑顔のまま、きちんと伝えた一言
ある本で、断るときは理由より先に「結論」を言うといい、と読んだ。遠回しにするから、相手も引き際を見失うのだと。私は次の機会に、それを試すことにした。
翌日、彼女がいつものように話しかけてきた。私は笑顔を崩さないまま、こう切り出した。
「話の途中でごめんなさい」
そして、続けた。
「この後どうしても外せない用事があって。いいですか?」
彼女は少し驚いた顔をしたあと、あっさり笑った。
「もちろん!引き止めちゃってごめんね」
拍子抜けするほど、すんなりしていた。時間を区切ると、彼女もかえって話しやすそうだ。約束の時間が来ると、私はもう一度、はっきり伝えた。
「続きはまた今度、ゆっくり聞かせてください」
「うん、楽しみにしてる!」
笑い合って別れた。角を立てず、けれど言うべきことは言う。たったそれだけで、こんなに気持ちが軽くなるなんて。
不思議なことに、それ以来、彼女は私の顔を見るとまず時計を確認するようになった。
「今日は大丈夫? 急いでるなら、手短にするね」
そんなふうに気遣ってくれる。私が線を引いたぶん、彼女も安心して距離を測れるようになったのかもしれない。
それからの私たちは、道で会っても短く言葉を交わすだけ。お互いの時間を尊重し合える、ちょうどいい間柄になれた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














