「大事な人へのプレゼントなんです」恋人への贈り物だと張り切った店員。数日後、恥ずかしい勘違いが発覚
恋人への贈り物だと思い込んで
服の店で接客をしていたころ、今でも思い出すと笑ってしまう出来事がありました。
ある日の昼、男性のお客様が女性用の服の棚の前で、困ったように立ち止まっていました。
「よろしければ、一緒にお選びしましょうか?」
私が声をかけると、男性はほっとしたような表情を浮かべました。
「あ、助かります。大事な人へのプレゼントなんですけど、何を選べばいいのか全然わからなくて……」
少し照れたように笑う男性を見て、私はすっかり恋人へのプレゼントなのだと思い込んでしまいました。
「どんな服がお好きな方ですか?」
「明るい色が好きですね。よく笑う人で、小柄で……かわいらしい感じです」
その言葉を聞いて、私の頭の中には、明るくてかわいらしい彼女さんの姿が浮かんでいました。
私はエプロン姿のまま売り場を回り、流行りの明るい色のブラウスと、ふんわりしたカーディガンを選びました。
「こちらはいかがですか?この組み合わせ、かわいいと思いますよ」
「あ、いいですね!これなら似合いそうです」
男性はうれしそうにうなずいてくれました。
私もついうれしくなり、余計なひと言まで口にしてしまったのです。
「一緒にお出かけしたら、きっと素敵ですね」
男性はにこにことうなずいていました。
私はすっかり自分の選んだ服に自信を持ち、いつも以上に丁寧にラッピングをしました。リボンの形まで念入りに整えながら、彼女さんも喜んでくれるといいな、と思っていたのです。
「母がすごく喜んでくれました」
それから数日後のことです。
私がレジのカウンターに立っていると、あの男性のお客様が再び来店されました。
私に気づくと、うれしそうな顔で近づいてきます。
「この前はありがとうございました!」
「あ、先日のお客様ですね!プレゼント、無事に渡せましたか?」
「はい!母がすごく喜んでくれました」
「……えっ、お母様?」
思わず聞き返してしまいました。
男性は不思議そうな顔をすることもなく、笑顔で話を続けます。
「明るい色が好きなんですけど、自分で買うと、いつも落ち着いた色になっちゃうみたいで。あれから毎日のように着てるんですよ」
私は笑顔のまま、頭の中が真っ白になりました。
彼女さんだとばかり思っていたあの人は、お母様だったのです。
しかも私は「一緒にお出かけしたら、きっと素敵ですね」なんて、恋人同士のつもりで話していました。
あのときの自分の言葉を思い出すと、恥ずかしくてたまりません。
それでも、男性が本当にうれしそうだったので、私もほっとしました。
「そうだったんですね!気に入っていただけて、本当によかったです」
自分の早とちりがおかしくなり、思わず小さく笑ってしまいました。
「今度は母を連れてきますね」
男性はそう言って、笑顔で帰っていきました。
お客様は何も間違っていません。勝手に恋人への贈り物だと思い込んでいたのは、私だけだったのです。
それ以来、プレゼント選びのお手伝いをするときには、最初に必ず確認するようにしています。
「ちなみに、差し上げるのはどなたですか?」
あの日の恥ずかしさを思い出しながら、今では自然に出てくるひと言です。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














