「そんなに怒ることないだろ」財布からお金を抜いて開き直る恋人。だが、母親の前で言い訳が止まった瞬間
財布から消えた、初期費用の20万円
21歳のころの話です。
当時付き合っていた恋人とのデート代は、ほとんど私が払っていました。
会計の時間になると、恋人は決まって席を立ちます。
戻ってくるころには私が支払いを済ませていて、それがいつの間にか当たり前になっていました。
ある晩、恋人の部屋に泊まったときのことです。
翌日は新しい部屋の初期費用を払う予定で、財布には20万円ほどの現金を入れていました。
朝、恋人より先に部屋を出て、コンビニに寄りました。
そこで財布を開いた瞬間、思わず息をのみました。
「えっ……うそでしょ」
お札が一枚もありません。残っていたのは小銭だけでした。
初期費用の支払いもあるのに、どうしよう。頭が真っ白になりました。
店の隅で昨夜のことを思い返しました。かばんは一晩中、恋人の部屋に置いてありました。
嫌な予感がして電話をかけると、恋人はあっさり答えました。
「あー、気づいた?ちょっと借りただけだって」
「は?借りたって、私に何も言ってないじゃん! 今すぐ返してよ」
夕方、恋人が私の部屋に持ってきたのは7万円だけでした。残りはもう使ってしまったと言うのです。
「ちょっと待って。これだけ?残りはどうするの?」
「だから、返すつもりだったって。そんなに怒ることないだろ」
悪びれる様子もない恋人に、怒りを通り越して悲しくなりました。
恋人はそのまま靴を履き、部屋を出ていきました。玄関のドアが閉まったあとも、私はしばらく動けませんでした。
恋人の母親が告げた、思いがけない言葉
どうしても納得できず、私は何度か会ったことのある恋人の母親に電話しました。
事情を話すと、母親は最後まで黙って聞いたあと、こう言いました。
「分かりました。今夜、うちに来てください」
夜、恋人の実家に着くと、母親もちょうど仕事を切り上げて帰ってきたところでした。
母親は恋人を呼び出し、居間に座らせました。
私は少し離れたところに座りました。
「母さんまで出てこなくていいって。ちゃんと返すつもりだったんだから」
恋人はまだ、自分が悪いことをしたとは思っていないようでした。
すると母親は、恋人の前に立って言いました。
「あのね。勝手に人の財布からお金を取ったんでしょう?それは借りたとは言わないのよ」
「いや、だから……」
「言い訳はいいから」
母親の厳しい声に、恋人は口を閉じました。
そして母親は私に向き直り、深く頭を下げました。
「本当に申し訳ありません。残りは私が払います」
続けて恋人のほうを見ると、きっぱりと言いました。
「あなたは、そのお金を私にきちんと返しなさい」
「えっ……いや、それは……」
さっきまで開き直っていた恋人は、言葉に詰まり、うつむいてしまいました。
母親はその日のうちに、残りの13万円を私の口座に振り込んでくれました。
私は恋人に向かって、はっきり伝えました。
「もう会わない。さよなら」
恋人は顔を上げることもなく、黙ったままでした。
居間を出るときに振り返ると、母親はまだ恋人の前に立ち、厳しい表情で見つめていました。
お金が戻ってきたことにはほっとしました。でも、勝手に財布を開けられたことも、平然と「借りた」と言われたことも、簡単には忘れられません。
あの夜、恋人との関係を終わらせてよかったと、今でも思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














