tend Editorial Team

2026.07.18(Sat)

「母さんの前ではいい息子でいたい」と私をないがしろにする夫。だが、実家での質問に言葉を失った

「母さんの前ではいい息子でいたい」と私をないがしろにする夫。だが、実家での質問に言葉を失った

外面だけはいい夫

「外面だけはいいんだから」私は何度、心の中でそうつぶやいたか分からない。

義実家へ行くと、夫は人が変わる。玄関に着くなり母親の荷物を抱え、食後には誰よりも早く席を立って洗い物を買って出る。

義母はそのたびに、我が子を見上げて目を細めた。

「本当に優しい子」

義母は苦労を重ねてきた人だ。その母を思いやる夫の気持ちを、私も否定するつもりはない。

ただ、その姿を横で見るたびに、胸の奥がちくりとした。

けれど家の夫は、ソファから動かない。「お茶」「ティッシュ」と口だけは達者で、脱いだ服も食器も置きっぱなし。

使い終えた皿は、いつも私が黙って片づけていた。

「たまには自分でやってよ」そう言っても、「はいはい」と生返事が返るだけ。

義実家からの帰り道、私はなぜ家では動かないのかと尋ねた。

すると夫は、あっけらかんと答えた。

「母さんの前ではいい息子でいたい」

悪気はないのだろう。だからこそ、余計にやりきれなかった。

実家でやんわり仕返し

数日後、私たちは私の実家を訪ねた。

母がお盆にお茶を並べて運んできても、夫は座ったまま「どうも」と礼を言うだけ。義実家でのあのきびきびした姿は、どこにも見当たらなかった。

私はにっこり笑って、母に打ち明けるふりをした。

「この人、お義母さんの家だと別人みたいに働くのよ。お皿洗いも荷物持ちも全部」

夫の肩が、びくりと跳ねた。母は湯呑みを置きながら、楽しそうに言葉を継ぐ。

「あら、素敵。じゃあここでも見せてもらおうかな」

逃げ場を失った夫は、視線を落として黙り込んだ。

頬が赤い。「いや、その……」と口ごもるばかりで、言葉が続かない。

助けを求めるように私を見たが、私はにこりと笑い返すだけだった。

私はとどめとばかりに、静かに問いかけた。

「じゃあ私とか母は他人?」

夫は大きく息を吐き、「……ごめん。家でもやるよ」と観念したように頭を下げた。そして立ち上がり、母の湯呑みを下げにキッチンへ向かう。

その背中を見て、母がこっそり私にウインクをよこした。

あの日を境に、夫は少しずつ家でも動くようになった。

食後に食器を運んだり、「手伝うことある?」と声をかけてくれたり。たったそれだけのことで、家の空気は驚くほど軽くなった。

母の前でうろたえ、初めて逃げ場をなくした夫の顔を、私はきっとずっと忘れない。義母だけでなく、毎日隣にいる私にも同じ顔を向けてくれる。それだけで十分だった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.16(Fri)

「そんなの知らん、100円安かったはずだ」特売価格を譲らない男性が、持参した広告の日付を見て黙った瞬間
tend Editorial Team

NEW 2026.10.16(Fri)

「来年度は仕事が忙しいので」と役員のくじを引かなかった母親。翌年も帰ろうとした彼女に、会長が説明した新しい決まり
tend Editorial Team

NEW 2026.10.16(Fri)

「玄関に落ちた実くらい、お宅で掃いてよ」隣家の木の実に悩んだ私。足を滑らせた私のお願いを断った隣人が、翌週にとった行動
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.02.24(Tue)

「ねえ、あの子、一人じゃない?」アウトレットモールで見つけた迷子の子供。母親と再会した瞬間、信じられない一言を放つ
tend Editorial Team

2026.03.06(Fri)

「早く結婚しなさい!」会うたびに催促する母。古い価値観に耐えられず、町の窓口に相談した結果
tend Editorial Team

2026.04.02(Thu)

「更生して復帰してほしい」「人としてはダメ」と賛否両論。自動車事故を起こしたタイガー・ウッズがXで活動休止を発表
tend Editorial Team