tend Editorial Team

2026.07.23(Thu)

「ドンドンうるさい!」下の階の住人からの苦情。だが、住人と一緒に原因を調べた結果

「ドンドンうるさい!」下の階の住人からの苦情。だが、住人と一緒に原因を調べた結果

突然の怒鳴り込み

そのアパートで、私は二階の部屋を借りていた。

階下の住人とは、廊下やゴミ捨て場でよくすれ違う。こちらが挨拶をしても、返ってきたためしはない。無口で気難しい人なのだろう、と勝手に思っていた。

ある夜のことだった。インターホンが立て続けに鳴り、ドアを開けると、階下の住人が険しい表情で立っていた。

「ドンドンうるさい!」

毎晩、天井から重い音が響いて眠れない。

あなたの足音だろう、静かにしてほしい。そう、一息にぶつけられた。

頭ごなしの言い方に、かっとなりかけた。

けれど、ここで言い返しても水掛け論になるだけだ。それに、眠れないほど困っているのは、きっと本当なのだろう。

相手を責め返す前に、まず話を聞こうと思った。

私はひとつ息を吐いてから、できるだけ静かに答えた。

「その音がする時間、私はいつも仕事で家にいないんです」

「じゃあ、誰が音を立ててるって言うの」

「それを、一緒に確かめたいんです」

相手は、え、という顔をした。

予想していた反論とは、違ったのだろう。声の勢いが、少しだけ弱まった。

深夜の音の正体

「一度、確かめませんか」

決めつけ合っていても、何も解決しない。

私は、音のする時間に立ち会ってほしいと頼んだ。

相手はしばらく黙り込んでから、分かりました、と低い声で応じた。

その夜、私は部屋の電気をすべて消し、鍵をかけて外に出た。

二人で建物の外階段に並んで、じっと耳を澄ます。

しばらくして、ドン、ドン、と低い音が壁を伝ってきた。

それは、誰もいない私の部屋から聞こえてくるのではなかった。

「あなた、外にいるのに…音がしてる」

相手はそうつぶやいたきり、立ち尽くしていた。

翌日、大家に立ち会ってもらって点検すると、正体は共用の給水ポンプだった。

深夜に動くたび、その振動が配管を伝い、上の階へと響いていたらしい。

誰か一人のせいなどでは、そもそもなかったのだ。

それを聞いた階下の住人は、みるみる表情を変えた。目を泳がせ、しばらく口ごもったあと、深々と腰を折った。

「ごめんなさい。ずっと、あなたのせいにしていました」

大家も「これは、住んでいる人には分かりませんよ」と取りなしてくれた。

ポンプが直ると、夜の音はぴたりとやんだ。静かな夜が、ようやく二人の部屋に戻ってきた。それ以来、階下の住人は私を見かけるたび、自分のほうから明るく声をかけてくれる。あのとき感情でぶつからず、落ち着いて話してよかった。そう、心から思える出来事だった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.25(Sun)

「うちの子のほうが似合いそう」娘の服をけなしてお下がりをねだったママ友。だが、私が笑って受け流すのをやめた瞬間
tend Editorial Team

NEW 2026.10.25(Sun)

「これ、私が作ったので」三晩かけて仕上げた資料を自作と話したママ友。翌週の役員会で明らかになった本当の作成者
tend Editorial Team

NEW 2026.10.25(Sun)

「これ、去年も着てたよね?」子どもの上着をつまんだママ友。数日後、商業施設で偶然見かけた買い物かごの中身
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.04.09(Thu)

「ステキな家族の一枚」「もう小学生なのですね」と祝福の声続出。作家・はあちゅう、長男の入学式を報告!元事実婚・しみけんと...
tend Editorial Team

2026.08.13(Thu)

「それ、去年も聞いてたよ」親戚の集まりで毎年同じ質問をする伯父。だが、いとこが返した一言で態度が一変
tend Editorial Team

2026.08.23(Sun)

「30代でまだ家も買ってないのか」お盆に親戚の前で家を急かす叔父。だが、母の一言で状況が一変
tend Editorial Team