「次やったら、部屋の更新はしないから」燃えないゴミを新入りの私が出したと決めつける大家。見てたはずが自滅
冬の朝のゴミ置き場
大家は、さっき私が出したのを窓から見たと言いました
燃えるゴミの袋を片手に下げて、アパートの外階段を下りました。
夜通し降った雪がやんだばかりの、1月の朝です。屋根も手すりも、真っ白でした。
このアパートに越してきて、2か月。ゴミは当日の朝に出す決まりだと、敷地内の母屋に住む大家の女性から、何度も念を押されています。
母屋とアパートで共用のゴミ置き場は、屋根のない金網で囲われていました。
そういえば昨日の夕方、帰宅したときに、大家が母屋の勝手口でゴミ袋を持っているのを見かけました。
ただ、そのときは特に気に留めていませんでした。
階段の下のゴミ置き場の前では、2階の男性が腕を組んでいました。
今日は燃えるゴミの日なのに、燃えないゴミが出ている、と顔をしかめています。
男性に呼ばれて母屋から出てきた大家は、私を見るなり言いました。
「さっき、あなたが出したのよ。」
「窓から見てたわ。」
大家は、夜に出す人もすぐ分かると言い切りました
今、部屋から下りてきたばかりだと説明しようとしましたが、大家は首を横に振るだけでした。
「うちの台所から、ここは丸見えなの。」
「夜に出す人も、すぐ分かるのよ。」
部屋の更新はしないと言われ、私は言い返せずにうつむきました
「分別もできない若い人は、困るわ。」
「次やったら、部屋の更新はしないから。」
2階の男性の目が、大家から私へ移りました。
越してきて、まだ2か月です。契約の更新を口にされて、声が出なくなりました。
窓から見ていたとまで言い切られては、私ではないと言っても、信じてはもらえないでしょう。
私は袋の持ち手を握ったまま、口を一文字に結んでうつむきました。
部屋の更新をちらつかされて
燃えないゴミを片づけろと言われ、私は袋の上を見てほしいと頼みました
大家は金網の中にある燃えないゴミの袋を指さしました。
「その袋、さっさと片づけて。」
言われて、私は自分の燃えるゴミの袋を下げたまま、金網の扉を開けました。そこで、手が止まりました。
黙って片づければ、私が出したことになります。
そのとき、燃えないゴミの袋の上に積もった雪が目に入りました。
「中の袋の上を、見てください。」
袋の上には、夜通し降った雪が厚く積もっていました
私は茶色の手袋をはめた手で、その袋の上の雪をすくい取りました。
手袋の上に、厚い雪のかたまりがのりました。階段の手すりに積もった雪と、同じくらいの厚さです。
袋の下の部分も、周囲の雪に埋もれています。一方、もう片方の手に下げた今朝の私の袋には、雪がまったくついていません。
夜通し降った雪が、この袋の上にも積もっていた。つまり、少なくとも雪が積もる前から、ここに置かれていたのです。
大家が言うように、私がさっき出した袋ではありません。
「じゃあ、ゆうべ出したのね!」
「夜に出した人なら、もうご存じです。」
今朝、私が出すところを見たという話は、雪の状態と矛盾しています。
しかも大家は、夜にゴミを出す人も分かると言い切っていました。
私はふと、昨日の夕方、母屋の勝手口で大家がゴミ袋を持っていたことを思い出しました。
もちろん、それが今ここにある袋と同じものかは分かりません。
しかし、大家は雪の積もった袋を見つめたまま、急に口数が少なくなりました。
大家は、雪の残るゴミ袋を抱え上げました
2階の男性が、腕を組んだまま、大家の顔を見ました。
大家は男性の視線を避けるようにうつむき、しばらく黙っていました。そして、観念したように金網の中へ手を伸ばし、雪の残る袋を抱え上げたのです。
「曜日を、間違えただけよ。」
その言葉で、ようやく事情が分かりました。
燃えないゴミの日だと思い込んで、大家自身がゆうべのうちに出していたのです。
住人に決まりを言い聞かせてきた手前、2階の男性に出し間違いを知られたくなかったのでしょう。
その場を取り繕おうとして、越してきたばかりの私が出したことにしようとしたのかもしれません。
私は自分の燃えるゴミの袋を、金網の中にそっと置きました。
「次からは、朝にお願いします。」
雪の残る袋を抱えたまま、大家は2階の男性の方へ顔を上げられませんでした。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














