「子どもが遊んでるだけでしょ」公園の階段をふさぐ子どもたちを注意しなかった母親。だが、子どもたちが始めた遊びで空気が一変
遊具の階段をふさいでいた子どもたち
休日の昼、娘を連れて公園に遊びに行ったときのことです。
娘はアスレチックの遊具を見つけると、うれしそうに私の手を引っぱって走り出しました。
ところが、階段の前まで来て、私たちは足を止めました。
小学校に上がる前くらいの子どもたちが、階段にずらりと座り込んでいたのです。ほかの子が上ろうとしても、通れるすき間がありません。
少し離れたベンチには、子どもたちの母親らしき女性たちが集まっていました。
ベンチにはバッグや上着が広げられ、座れる場所はほとんどありません。近くには立っている保護者もいました。
「やだ、それ分かる〜!」
「でしょ? ほんと信じられなくてさあ」
母親たちは身ぶりを交えながら、楽しそうにおしゃべりをしています。遊具のほうを気にする様子はありません。
「ママ、のぼりたい……」
娘が困った顔で階段を見上げました。
私は階段の下にしゃがみ、座っている子どもたちに声をかけました。
「ごめんね。ちょっとだけ通してもらえるかな?」
子どもたちが顔を見合わせた、そのときです。
ベンチにいた母親のひとりが、こちらを振り返りました。
「え? 子どもが遊んでるだけでしょ」
そう言うと、またほかの母親たちとの話に戻ってしまいました。
私もそれ以上は言えず、娘の手を握ったまま階段が空くのを待つことにしました。
子どもたちが始めた、まさかのおしゃべりごっこ
しばらくすると、階段に座っている子どもたちのほうから、くすくすと笑い声が聞こえてきました。
見ると、女の子が片手を頬に当て、もう片方の手をひらひらと動かしています。
そして、少し声を高くして言いました。
「ねえ聞いて〜、うちの子がさあ」
「えー! うそー!」
隣の男の子が大げさにのけぞります。
別の子も「分かる〜!」と言いながら、隣の子の肩をたたきました。
私は思わずベンチのほうを見ました。
さっきから聞こえていた母親たちの話し方と、そっくりだったのです。
声の高さや身ぶりまでよく似ていて、子どもたちは顔を見合わせて笑っています。
遊具の近くにいた保護者たちも気づいたようで、口元を押さえて笑う人や、肩を震わせている人がいました。
その様子に気づいたのか、ベンチの母親たちもおしゃべりをやめました。
「え、なに? どうしたの?」
母親たちが階段のほうを見ると、ちょうど女の子が首をかしげながら言ったところでした。
「ほんと信じられなくて〜!」
その瞬間、母親たちの表情が変わりました。
さっきまで自分たちが話していた言葉です。
互いに顔を見合わせ、気まずそうに笑う母親たち。私に声をかけた女性も、何か言いかけたものの、そのまま黙ってしまいました。
やがて母親のひとりが立ち上がり、子どもたちに声をかけました。
「ほら、もう降りておいで」
ほかの母親たちも荷物をまとめ始め、階段から降りてきた子どもたちを連れて、その場を離れていきました。
ようやく階段が空くと、娘はうれしそうに遊具を上っていきました。
てっぺんから手を振る娘に、私も手を振り返します。
そして、さっきの子どもたちの声を思い出し、思わず笑ってしまいました。
大人が何気なく話している姿を、子どもたちは本当によく見ているものですね。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














