「あちらのレジに並び直してください」レジで順番が来た直後に休止札を立てられた客。最後尾へ戻った私に店長が気づいた結果
順番が来た直後、休止の札が置かれた
週末の昼すぎ、日用品をまとめ買いしにドラッグストアへ行った。ティッシュの箱を抱え、シャンプーの詰め替えなどを入れた重いカゴを提げて、レジの列に並んだ。
前の人たちの会計が終わり、ようやく私の番になった。
「お待たせしました」
担当の店員さんに声をかけられ、カゴを台に置く。店員さんが最初の商品に手を伸ばした、そのときだった。
別の店員さんが急いだ様子でやってきて、レジの横に「休止」の札を置いた。
「申し訳ありません。こちらを閉めるので、あちらのレジに並び直してください」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「えっ、私、もう順番が来てますよね?」
担当の店員さんも戸惑った顔をした。
「このお客様だけ、先にお会計してもいいですか?」
しかし、もう一人の店員さんは首を横に振った。
「ごめん、奥の検品が詰まってるの。今すぐ手伝ってほしくて」
そして私に向き直った。
「すみません。あちらのレジに並び直してください」
同じことを二度言われ、私はそれ以上言えなくなった。
「……分かりました」
カゴを持ち直し、隣のレジの最後尾へ向かった。ほんの少し前まで自分の番だっただけに、また並び直すことが妙にこたえた。
「そのお客様、もう順番が来ていたんですよね?」
数分後、品出しの台車を押していた店長が、休止中のレジの前で足を止めた。
「ここ、もう閉めたんですか?」
休止札を置いた店員さんが答えた。
「はい。奥の検品に人が足りなくて、応援に入ってもらいました」
店長はレジを見てから、もう一度尋ねた。
「最後に並んでいたお客様は?」
「あちらのレジに並び直していただきました」
店員さんが私のほうを示すと、店長は少し驚いた表情になった。
「そのお客様、もう順番が来ていたんですよね?」
「……はい」
店長は少し間を置いてから言った。
「それなら、その方のお会計を終えてから応援に入ってもらいましょう」
強い言い方ではなかったが、はっきりした口調だった。
そのあと店長は私のところまで来て、頭を下げた。
「大変失礼しました。もう一度お並びいただく必要はありません。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます。正直、ちょっとびっくりしてしまって…」
元のレジへ戻ると、店長が会計をしてくれた。
休止札を置いた店員さんも、「急いでいて、すみませんでした」と申し訳なさそうに頭を下げた。
「いえ……もう私の番だったので、どうしたらいいのか分からなくなってしまって」
私もそう答えた。
奥の作業が忙しく、人手を急いで確保したかった事情はあったのだと思う。それでも、目の前ですでに待っている人への対応をどこで区切るのか。その判断ひとつで、受け取る側の気持ちはずいぶん変わるのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














