「野菜、ひとつも入ってないんだ」息子のお弁当を笑われた私が、隣のママの一言に救われた
笑われたお弁当の中身
その日は、5歳の息子が通う幼稚園の親子遠足でした。
芝生の広場にレジャーシートを敷き、クラスの親子が輪になってお昼を食べることになりました。
朝早く起きて作ったお弁当には、息子の大好物のウインナーを多く入れました。
すき間には、から揚げと甘い卵焼きを詰めていました。
「ママ、ウインナー何本あるの?」
「自分で数えてごらん」
息子が指で一つずつ数え始めたとき、隣に座っていたママ友がこちらをのぞき込みました。息子と同じクラスの男の子のお母さんです。
「え、ウインナー多くない?お肉ばっかりじゃない?」
ママ友はそう言って、くすっと笑いました。
「野菜、ひとつも入ってないんだ。ちょっと可哀想かも」
近くにいたママたちは顔を見合わせ、曖昧に笑っています。
息子が好きなものを喜んで食べてくれればと思って作ったお弁当でした。それなのに、手を抜いたと言われたような気がして、耳が熱くなりました。
私は何か返そうとしましたが、うまく言葉が出てきませんでした。
反対側から聞こえた一言
そのとき、ママ友の息子さんが、うちの息子のお弁当をのぞき込みました。
「ぼくもウインナー大好き。1本ちょうだい」
息子はうれしそうにうなずき、ウインナーを1本、男の子のお弁当のふたにのせました。
男の子はすぐに口に入れると、ほっぺたをふくらませました。
「おいしい!」
その声を聞いて、反対側に座っていたママが笑いました。まだあまり話したことのない人でした。
「うちの子もウインナー大好きだよ。おいしそうだね」
そう言って、自分の娘のお弁当を少しこちらへ傾けます。そこにも、ウインナーがいくつも並んでいました。
「うちも好きなもの、多めに入れちゃうよ。喜んで食べてくれるとうれしいもんね」
その何気ない言葉に、張りつめていた気持ちが少しほどけました。
まわりのママたちも何度かうなずいています。最初に声をかけてきたママ友は、ウインナーをほおばる自分の息子を見たあと、それ以上お弁当について何か言うことはありませんでした。
帰りのバスで息子が言ったこと
お昼を終えて片づけをしていると、反対側に座っていたママが声をかけてくれました。
「今度、公園で一緒に遊びませんか?」
「ぜひ」
さっきまで沈んでいた気持ちが、少し軽くなりました。
帰りのバスで、息子は窓の外を眺めながら言いました。
「つぎも、ウインナーいっぱいがいいな」
「そんなに好きなの?」
そう聞くと、息子は大きくうなずきました。
私は空になったお弁当箱をひざにのせたまま、思わず笑ってしまいました。
あの日声をかけてくれたママとは、その後も子どもたちを一緒に遊ばせるようになり、今では週末に顔を合わせる仲になっています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














