「最近ちょっとお金、使いすぎじゃない?」自分ばかり生活費を払っていると思っていた。だが、恋人のレシートを前に黙りこんだワケ
自分ばかり払っていると思っていた生活費
恋人と一緒に暮らしていたころ、家賃や光熱費、普段の食費など、毎月の支払いの多くは私の口座から出ていました。
そこに外食や週末の買い物も重なります。口座の残高を見るたびに、思っていた以上にお金が減っていることが気になっていました。
「ねえ、最近ちょっとお金、使いすぎじゃない?」
「そう? いろいろ値上がりしてるしね」
テレビを見ていた恋人は、のんびりと答えました。
その返事を聞いて、私は少しモヤモヤしました。毎月これだけ払っているのに、恋人はあまり気にしていないように見えたのです。
自分がどれだけ負担しているのか、一度きちんと見せたほうがいい。そう考えた私は、休日に紙と定規を取り出しました。
家賃、光熱費、食費、外食。自分が払ったものを思い出せるかぎり書き出し、電卓で合計していきます。
数字を並べると、思っていた以上の金額になりました。
「これなら、分かってもらえるだろう」
完成した手書きの家計表を眺めながら、私は一人で納得していました。
そういえば、棚の引き出しがいつの間にか物でいっぱいになっているのには気づいていました。でも、恋人の書類だろうと思い、特に気にしていませんでした。
恋人が引き出しから出したレシートの束
その日の夕食後、私は片づいたテーブルに家計表を広げ、向かいに座った恋人に差し出しました。
「ちょっとさ、生活費のことで話してもいい?」
「うん。どうしたの?」
「これ、私が払ってる分なんだけど。ちょっと見てほしくて」
恋人は家計表を手に取り、一行ずつ目を通していきました。私は少し緊張しながら、返事を待っていました。
ところが、読み終えた恋人は何も言わずに立ち上がり、棚の引き出しを開けたのです。
そこから取り出したのは、輪ゴムでまとめられた分厚いレシートの束でした。
「私が払ってたぶんも、足してみて」
「えっ……これ、全部?」
「うん。仕事帰りに買ってたもの。食材とか洗剤とかね」
レシートには、現金で支払った記録が残っていました。
引き出しにたまっていたのは、恋人が日々の買い物で受け取ったレシートだったのです。
私は慌てて電卓を引き寄せました。日付を確かめ、自分の家計表と支払いの時期を照らし合わせながら、一枚ずつ金額を足していきます。
想像していた以上に枚数が多く、計算してもなかなか終わりません。
「まだ下にもあるよ」
「……うん、見えてる」
恋人の顔を見るのが少し恥ずかしくなってきました。
ようやく計算を終えると、恋人が払っていた金額は、私の負担とほとんど変わりませんでした。
口座から出ていくお金ばかりを気にして、恋人が現金で払っていた分をまったく数えていなかったのです。
私は何も言えなくなり、目の前の家計表をそっと裏返しました。
「あ、隠した」
恋人が吹き出し、私も思わず笑ってしまいました。
笑いがおさまると、恋人は裏返した家計表の白い面を指で軽くたたきました。
「次は、ここに二人で書こうね」
私は素直にうなずきました。
自分の支払いだけを並べた表では、二人の生活費は分からない。そんな当たり前のことに、ようやく気づいた夜でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














