「氷ばっかりじゃない?」混雑するカフェで返金を求めた男性。だが、店長が選択肢を示した結果
注文の途切れない昼のレジ
学生時代、駅前のカフェでアルバイトをしていた。土日の昼は特に混み、その日もレジの前には7人ほどが並んでいた。
僕が次のお客さまを呼ぼうとしたとき、少し前にアイスコーヒーを渡した五十代くらいの男性が、カップを手にレジ横へ戻ってきた。
「ちょっといい?」
男性はカップをこちらに見せながら、不満そうな顔をしていた。
「さっき、ずいぶん待たされたんだけど。遅すぎない?ちゃんと教育してるの?」
店内に響くほどの声に、列のお客さまたちもこちらを見る。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
僕が頭を下げると、男性はさらにカップを持ち上げた。
「それにこれ、氷多すぎない?ほとんど氷に見えるんだけど」
「氷は決められた分量でお作りしています。ただ、少なめにしてお作り直しすることはできます」
そう伝えたものの、男性は納得しなかった。
「いや、もういいよ。だったら返金して。責任者も呼んでくれる?」
僕がどう答えるべきか迷っていると、声を聞いた店長がキッチンの奥から出てきた。
言い返さず、希望を確認した店長
「お待たせしました。店長です」
店長が声をかけると、男性はすぐにカップを差し出した。
「これ、氷ばっかりじゃない?そのうえ結構待たされたんだけど」
店長はカップを確認してから答えた。
「お待たせしてしまったことは申し訳ありません。氷については、通常の分量でお作りしています」
「でも、これじゃ多すぎるでしょ」
「氷少なめでのお作り直しもできます。先ほど返金をご希望とのことでしたが、どちらになさいますか?」
店長がそう尋ねると、男性は少し黙った。
「…すぐできるなら、作り直して」
「承知しました。氷少なめですね」
店長はすぐに新しいアイスコーヒーを用意した。
男性は受け取ると、「じゃあ、これでいいよ」と短く言い、そのまま窓際の席へ向かった。
店長は僕のところへ戻ってくると、小さな声で聞いた。
「大丈夫?」
「はい。でも、僕の対応まずかったですか?」
不安になって尋ねると、店長は首を横に振った。
「大丈夫。レシピどおりだったし、作り直しの案内もできてたよ。次のお客さまをお待たせしてるから、戻ろう」
その言葉に少しだけ肩の力が抜けた。
「お待たせしました。ご注文をお伺いします」
僕はもう一度レジの前に立った。
大きな声で責められると、自分が間違っていたのではないかと焦ってしまう。それでも、店長が相手の希望をひとつずつ確認する姿を見て、感情的な相手ほど落ち着いて話を整理することが大切なのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














