「テントも椅子も、全部タダで貸して!」と頼み込む友人。返しに来た日、袋から出した椅子を見て立ち尽くした
道具を借りに来た友人
学生時代からの友人が、キャンプ道具を全部貸してと頼みました
休みの日は、夫とキャンプに出かけます。道具は、ボーナスのたびに1つずつ選んできました。
いちばんのお気に入りは、深緑の帆布に木のひじ掛けがついた、折りたたみの椅子です。
ある週末、学生時代からの友人が家に来て、玄関で手を合わせました。
連休に家族でキャンプへ行く予定ですが、初めてなので道具は何ひとつ持っていないそうです。
「テントも椅子も、全部タダで貸して!」
「連休に家族で、キャンプデビュー!」
友人は、火のそばには絶対に置かないと約束しました
帆布は火の粉に比較的強い素材ですが、火のそばに置けば焦げることもあります。
特にお気に入りの椅子は貸すのをためらいましたが、友人は胸に手を当てて言いました。
「火のそばには、絶対に置かない。」
「何かあったら、同じの買って返す!」
学生時代から、友人に頼まれると断れない私。
寝袋や調理道具はキャンプ場で借りられるとのことで、夫にも相談し、テントと椅子を貸すことにしました。
この前のキャンプのあと、座面をきれいに拭いてしまっておいた椅子とテントを、それぞれの袋に入れて渡しました。
連休明け、友人は道具を置くと急いで帰ろうとしました
連休明けの夕方、友人は2つの袋を玄関の土間に置くと、すぐに帰ろうと背を向けかけました。
「楽しかった!また貸してね!」
しかし、椅子の袋から、かすかに煙のにおいがします。
借りる前にあれほど火の扱いを気にしていたのに、友人は道具の状態について何も説明しません。
「椅子、大丈夫だった?」
平気な顔で帰ろうとする友人
友人は、焚き火禁止のキャンプ場だったと言い切りました
友人は、肩越しに軽く笑いました。
「キャンプ場は焚き火禁止だった。」
「火のそばには、置いてないから。」
さらに、細かいことばかり気にするから友達が少ないのよ、とまで言われてしまいました。
学生時代から、友人に強く言われると何も返せなくなることがありました。
ただ、袋の中身はまだ確認していません。大切にしていた椅子だけに、何も確かめずに受け取るのは不安でした。
広げた椅子の座面に、ふちの焦げた丸い穴が開いていました
このまま帰したら、あとで傷を見つけても確認しにくくなります。
私は友人を引き止め、一緒に確かめようと袋のひもをほどき、その場で椅子を広げました。
すると、深緑の座面の真ん中に、ふちの焦げた丸い穴が開いていたのです。
貸す前にはなかった傷でした。驚いて友人を見ると、友人は早口で言いました。
「隣の焚き火の火の粉でしょ!」
「焚き火禁止なのに、どこの火の粉?」
先ほどは焚き火禁止のキャンプ場だったと言っていたのに、今度は隣で焚き火をしていたと言い出したのです。
誰かがルールを守らずに火を使った可能性もありますが、友人の説明が急に変わったことに、私は不信感を覚えました。
同じ椅子で返してと言われ、友人はドアの前で動けなくなりました
友人は黙ってドアノブに手をかけ、そのまま動けなくなりました。
「帆布に、火の粉でこの穴は開かない。」
私は思わずそう口にしました。実際には帆布でも火の粉で穴が開くことはありますし、傷の状態だけで原因を断定することはできません。
それでも、貸す前にはなかった大きな穴が開いているのは事実です。
何より悲しかったのは、椅子の状態を確かめもせず、何事もなかったように帰ろうとした友人の態度でした。私は、貸す前に交わした約束を思い出して言いました。
「約束どおり、同じ椅子で返して。」
友人は口を引き結んで目をそらしたまま、何も言い返せませんでした。その場では返事をもらえませんでしたが、後日、友人から弁償すると連絡があり、同じ椅子を買って返してもらいました。
また貸してね、と笑っていた友人には、次の道具は自分でそろえてほしいと伝えました。大切にしている物だからこそ、これからは貸す相手も慎重に考えようと思います。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














