「だったら早く言ってよ!」毎回外食代を払ってくれる父に割り勘を提案した私。だが、思いがけない返事に笑ってしまった理由
毎回ごちそうしてくれる父に、言えなかったこと
両親と私たち夫婦は、ときどき4人で外食をします。
家族で食事をする時間は楽しいのですが、私には毎回、少しだけ気が重くなる瞬間がありました。
それは会計のときです。
「お父さん、今日は私たちが払うよ」
「いいって、いいって。ここは俺が出すから」
父はそう言って、いつも私より先に伝票を手に取ってしまいます。
結局、毎回両親にごちそうになるばかり。ありがたい反面、申し訳ない気持ちもありました。
本当は、これからは割り勘にしたいと思っていたのです。
けれど、父は昔から子どもの前では気前よくしていたい人でした。
そんな父に割り勘を提案したら、「水くさいことを言うな」と嫌がられるかもしれません。
そう思うと、なかなか言い出せずにいました。
ある日の外食の帰り、車の中で夫が聞いてきました。
「今日も言えなかったの?」
「うん……。なんか、言いにくくて」
「普通に話せばいいと思うけどな」
「そうなんだけどね。お父さん、嫌な顔するかもしれないし」
夫は苦笑いしていましたが、私にとってはなかなか勇気のいることでした。
それでも、次こそはちゃんと伝えようと決めたのです。
勇気を出して伝えた私に、父が返した言葉
そして迎えた、次の外食の日。
レストランのテーブルで、向かいには父と母、隣には夫が座っていました。
食事が終わりに近づいたころ、私は思い切って父に声をかけました。
「あのね、お父さん。ちょっとお金のことで話があるんだけど…」
「ん?どうした?」
何度も頭の中で練習していたのに、いざとなると言葉が出てきません。
それでも、思い切って伝えました。
「あのさ、これから外食するときは、割り勘にしない?」
父は一瞬、黙りました。
やっぱり嫌だったかな。そう思っていると、父がふっと笑ったのです。
「なんだ、そんなことか。実は俺も、いつ言おうかと思ってたんだよ」
「えっ? お父さんも?」
思いがけない返事に、私は驚いて聞き返しました。
「そりゃ、毎回こっちが全部払うのも大変だからな。でも、親のほうから払ってくれとは言いにくいだろ」
「ええっ!じゃあ、なんでいつも先に伝票を取ってたの?」
「いや、なんとなくいつもの流れでな…」
父が照れくさそうに笑うと、母も横から口を挟みました。
「あなたが毎回さっさと払っちゃうから、言い出せなかったんじゃないの?」
「そうかもしれんなあ」
そのやり取りを聞いて、私は思わず吹き出してしまいました。
あんなに悩んで、何度も言う練習までしていたのに。父も同じように言い出せずにいたなんて。
「もう、お父さん!だったら早く言ってよ!」
「それはこっちのセリフだよ!」
父が笑いながら言い返すと、母も夫も笑い出しました。
結局、私たちはお互いに遠慮しすぎていただけだったのです。
それ以来、家族で外食するときは、両親と私たち夫婦で会計を分けるようになりました。
「今日も割り勘でいいよな?」
今では父のほうから、そう声をかけてくれます。
あれほど気を使っていた会計の時間も、すっかり気楽なものになりました。
もっと早く話しておけばよかった。そう思うたびに、あの日の父の照れくさそうな笑顔を思い出します。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














