
顧客の忠誠心を軽視し続けた携帯各社が直面する、利益目当ての「渡り鳥」と不公平感のジレンマ
日本の通信業界を長らく支配してきた「競争促進」という名の歪みが、今、限界点を迎えています。
携帯電話料金の値下げや乗り換えの円滑化という国ぐるみの旗振りが皮肉な結果を招き、短期解約を繰り返して多額の特典だけを掠め取る「ホッピング」が横行しているのです。
かつては違約金の壁やアプリ再設定の手間が抑止力となっていましたが、今やSIMを差し替えるだけで済む時代。
MNP(番号持ち運び制度)を利用して最新鋭のスマートフォンを大幅値引きで手に入れ、即座に買取店へ転売して数万円の利益を抜くという、さながら錬金術のような大胆な手法まで常態化しています。
悪意ある者にとって通信契約はノーリスクの小遣い稼ぎの場と化しているのが現状です。
この問題の根深さは、一部のユーザーのモラル低下にとどまらず、通信各社が新規顧客の獲得ばかりに血道を上げ、長年サービスを支えてきた既存顧客を露骨に冷遇してきた構造的な欠陥にあります。
キャリア側も特典の分割付与といった対策を始めていますが、端末の即時割引といった抜け道は依然として塞がれていません。
この歪な利益分配のシステムに対し、現場のユーザーからは怒りと呆れが入り交じった声が噴出しています。
SNS上では、こうした現状に対する厳しい意見が縦並びに続いています。
『ユーザーが悪いというより、「長期契約者を大事にしなかった結果」でもある気がする。今いる顧客を手放さない努力が感じられない』
『長期契約にほぼ利点が無いのだから、当然乗り換えが多くなって当たり前だよね。長期利用者からしたら馬鹿馬鹿しいわな』
『各社が新規契約やMNPの「特典」をやめればいいだけだと思う。だってその特典を長期使用ユーザーが負担させられて不公平が生じているわけだから』
顧客獲得の数字を追い求めた結果、企業側が自らモラルハザードの引き金を引いてしまっているという皮肉な構図が浮かび上がります。
ホッピングを阻止するための複雑なシステム改修や、総務省による度重なる規制強化によるコスト増は決して安くありません。
通信というインフラを高品質に保つためには適切な利益確保が至上命題です。
しかし、一部の抜け目ない利用者を引き留めるための過剰な販促費を強いられるのであれば、それは巡り巡って基本料金の高止まりという形で、ただ真面目に長期間使い続ける善良な消費者の首を絞めることになりかねません。
私たちは今、目先の利益を追う過度な流動化と、サービスに対する適切な対価・信頼関係のバランスを再考すべき局面に立たされています。
より良い条件を求めるユーザーの行動自体が悪いわけではなく、それを煽り、顧客の忠誠心を「搾取」へと変換してしまうビジネスモデルそのものが、制度疲労を起こしている最大の問題といえるでしょう。














