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2026.07.09(Thu)

「結ばなくても回収されるでしょ」ゴミ出しのルールを守らない住人。だが、私が指差したものを見て空気が一変

「結ばなくても回収されるでしょ」ゴミ出しのルールを守らない住人。だが、私が指差したものを見て空気が一変

散らかった生ゴミの朝

ゴミ収集の朝、私が置き場に向かうと、道路まで生ゴミが散らばっていた。カラスが数羽、袋をつついて飛び立っていく。

原因は、いつも同じだった。口を結ばず、記名もない袋が一つ、無防備に置かれているのだ。

私のアパートでは、袋の口を結び、指定の袋を使い、名前を書くのが自治体の決まりだった。

それでも収集の人は、その袋を毎回きちんと持っていってくれる。だから当人は、平気なのだろう。

「回収されるんだから、別にいいでしょ」

いつだったか、袋の主らしき隣人がそう漏らしたのを、私は覚えていた。

散らかるたびに拾うのは、いつも早起きの住人たちだ。臭いも、日ごとにひどくなっていた。

「そろそろ、誰かが言わないとね」

同じ棟の住人がこぼす。とはいえ、面と向かって注意するのは、誰だって気が重い。

結び目一つの分かれ道

名指しは、角が立つ。私は置き場の壁に、短い貼り紙を一枚だけ貼った。

「袋の口を結び、記名にご協力を。カラス被害が続いています」

誰かを責める言葉は避けた。それでも、心当たりのある人には届くはずだった。

数日後、置き場でその隣人と鉢合わせた。口の開いたままの袋を、手にしている。

「結ばなくても回収されるでしょ」

悪びれない口ぶりだった。私は散らばった生ゴミの跡を指さして、静かに尋ねた。

「カラスが散らかした袋、誰の?」

隣人の口元が、こわばった。答えを探すように、目が泳ぐ。

「……それは、たまたま」

言い訳は、続かなかった。近くにいた住人が、拾い集めた箸の袋を手に頷いた。

「毎朝、これ拾ってたんです」

もう一人の住人も、静かに横に並ぶ。逃げ道をふさがれた隣人は、視線を落として黙り込んだ。

やがて隣人は顔を赤くして、その場で無言のまま、袋の口を固く結び直した。

次の収集日から、その袋には名前が書かれ、口はしっかり結ばれていた。カラスが散らかすことも、なくなった。

置き場で会うと、隣人は気まずそうに目を伏せ、先に小さく会釈するようになった。以前の強気な口ぶりは、もう消えていた。

「おはようございます」

私も同じ言葉を返す。責め立てなくても、結び目一つで朝の景色はこんなにも変わるのだと知った。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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