「隣同士でしょ、開けて」マンションのオートロックを毎回頼む隣人。だが、我慢出来なくなった私がとった行動とは
オートロックを共用の鍵扱いする住民
引っ越して初めての1階暮らし。オートロックのマンションは、外へ出た瞬間にボタンで鍵が閉まる。
鍵いらずで楽な代わりに、うっかり持たずに出て締め出される人が後を絶たないという。
案の定、同じ建物のある住民が、鍵を忘れるたびに私の部屋のインターホンを鳴らして、エントランスを開けさせるようになった。
一度や二度なら笑って済ませられる。
でも、その住民は週に何度も、当たり前のように解錠を求めてきた。
しかも頼み方は、回を追うごとに軽くなっていく。
「開けといて」「ついでにお願い」。
まるで自動ドアにでも声をかけるような口ぶりだった。
そのたびに私は手を止め、玄関のモニターに駆け寄る。
相手の顔を確かめもせず、ボタンを押していた自分に、だんだん怖さを感じるようにもなった。
(あなた専用の鍵じゃないんだけど)
規約を盾に、やんわり突き返す
ある晩、またインターホンが鳴った。私は思いきって、やわらかく、でもはっきり伝えることにした。
「規約で決まってます」
インターホン越しに、相手が黙ったのがわかった。
「管理会社からも言われてて。私も鍵を忘れて数時間締め出されたことがあるので、他人事じゃなくて」
すると相手は、少しむっとした調子で食い下がってきた。
「隣同士でしょ、開けて」
ここで折れたら元通りだ。私は笑顔のまま、ゆずらなかった。
「だからこそ、規約は守りたいんです。お互いのために」
相手は「……はいはい」と言葉を濁し、それきり黙った。
気まずさの矛先が入れ替わった
その日から、私のインターホンが鳴ることはなくなった。
管理会社に念のため相談すると、担当者は苦笑いした。
「実は他の方からも、同じ相談を受けていまして」
数日後、エントランスの掲示板に「解錠の代行はご遠慮ください」という貼り紙が、以前より大きく貼り直されていた。
開けてもらうのが当たり前、という空気そのものが変わっていくのがわかった。
例の住民は、今ではしっかり鍵を首からさげて持ち歩いている。私と顔を合わせると、気まずそうに目を逸らし、早足で通り過ぎていく。あんなに堂々とボタンを鳴らしていたのが嘘のようだった。
断るのは勇気がいったけれど、たったひと言の線引きで、毎日の煩わしさはきれいに消えた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














