「じろじろ見てんじゃねえよ」スーパーで走り回る子どもを放置した父親。だが、店長から告げられた苦情の内容
レジ待ちの列の横を駆け抜ける子どもたち
夕方のスーパーは、仕事帰りの客でにぎわっていました。
私は夕飯の材料をかごに入れ、会計の列に並んでいました。
そのとき、6歳くらいの子どもたちが、笑い声をあげながら列の横を走り抜けていきました。
売り場の通路を何度も行ったり来たりしていて、カートを押していた女性も、そのたびによけています。
少し離れたお菓子売り場には、子どもたちの父親がいました。
棚の商品を手に取っていますが、子どもたちを呼び止める様子はありません。
危ないなと思いながらも、私はそのまま順番を待っていました。
やがて私の番になり、店員さんが商品をレジに通し始めたころ、その家族が隣のレジに並びました。
ところが、子どもたちはまだ落ち着きません。
今度は後ろに並んでいた客のかごにぶつかりそうになったのです。
思わずそちらを見ると、父親と目が合いました。
すると、父親がむっとした顔で言いました。
「なんだよ。じろじろ見てんじゃねえよ」
突然の言葉に驚きました。私は何も言っていませんし、ただ子どもたちのほうを見ただけです。
言い返さずに自分のレジへ視線を戻すと、父親は隣のレジ台に手をつき、こちらへ身を乗り出してきました。
「おい、聞こえてんのか。文句があるなら、外で聞いてやるよ」
その大声に、周囲の客たちが一斉に振り返りました。
父親の隣にいた母親が、困った顔で腕に手をかけました。
「ちょっと、やめなって。もういいでしょ」
「うるせえ!こいつが先に見てきたんだよ!」
父親は母親の手を払いのけ、まだ私をにらんでいます。
私は怖くなり、何も言わずに財布を取り出しました。早く会計を済ませて、この場を離れたいと思いました。
店長が告げた、静かなひとこと
そのとき、エプロン姿の店長が急ぎ足でやってきました。
店長は隣のレジの外側へ回り、父親の正面に立ちました。
「お客様、少しよろしいでしょうか」
「なんだよ。こっちは絡まれてんだよ」
父親が不機嫌そうに答えると、店長は落ち着いた声で話し始めました。
「お子さまが通路を走っていて危ないと、ほかのお客様から何件もお声をいただいているんです」
「はあ?それがなんだよ」
「危ないので、お子さまのそばについて、歩くようにしていただけますか」
父親が何か言い返そうとしたところで、店長はもうひとこと添えました。
「大きな声もお控えください」
その瞬間、父親は口を閉じました。
顔を赤くして店長を見ていましたが、先ほどまでの勢いはありません。
周囲の客たちも静かにその様子を見ていました。後ろの列にいた男性が、深くうなずいているのが見えました。
母親はあわてて子どもたちの手を取りました。父親もそれ以上声を荒らすことなく、隣のレジに向き直りました。
そのころ、私の会計もちょうど終わりました。財布をしまいながら隣を見ると、父親も支払いを済ませたところでした。
母親が子どもたちを連れて先に歩き出すと、父親はうつむき加減のまま、そのあとを早足で追いかけて店を出ていきました。
私がレジを離れようとすると、店長がこちらを向いて頭を下げました。
「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」
「いえ……ありがとうございます」
ほっとして会釈を返すと、隣のレジではもう、次の客がかごを置いていました。
さっきまでの騒ぎが嘘のように、店内にはいつもの夕方の光景が戻っていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














