「誰が持っていったんだろう」玄関前にあった届いたはずの荷物が消えた夜。翌朝、隣人が指した意外な場所
玄関前から消えていた段ボール
以前住んでいたマンションで、宅配便の段ボールを玄関前に置いてもらったことがあります。
その日に限って残業になり、帰宅したのは夜10時ごろでした。
階段を上がって共用廊下に出ると、奥の電灯がちかちかと点滅していました。薄暗い中をそのまま自分の部屋へ向かったのですが、玄関前にあるはずの段ボールが見当たりません。
慌ててスマートフォンを確認すると、配達完了のメールには、たしかに私の部屋の前に置かれた荷物の写真が残っていました。
「え…ここに置いてあったはずなのに」
周囲を見ても箱はありません。
誰かが持っていったのではないか。そう考えるうちに、だんだん腹が立ってきました。
「誰が持っていったんだろう。管理会社に確認してもらおう」
部屋に入り、事情を書いた便せんを用意しました。
最初は感情的な文章になってしまい書き直し、次は長くなりすぎてまた書き直し。3枚目でようやく、配達時刻や荷物がなくなっていたことを簡潔にまとめました。
防犯カメラを確認してもらえば何か分かるかもしれない。
そう思うと、廊下で足音がするたびに気になり、その夜はなかなか落ち着きませんでした。
隣の女性が指したのは、階段のほうでした
翌朝、管理会社へ渡す封筒を持って部屋を出ると、ちょうど隣の部屋から60代くらいの女性が出てきました。
「おはようございます。昨日は遅かったのね」
「おはようございます。実は、玄関前に置いてもらった荷物がなくなっていて…」
そう話すと、女性は「あら」と目を丸くし、階段のほうを指さしました。
「それなら、あそこよ。通る人がつまずきそうだったから、少し端に寄せておいたの」
私は言われた方向へ数歩戻りました。そして、階段を上がってすぐの壁際を見て、足が止まりました。
そこにあったのは、探していた段ボールでした。前の晩、私は階段から廊下へ出た直後、そのすぐ横を通っていたのです。
「……ありました。全然気づきませんでした」
「昨日は暗かったものね。見つかってよかったわ」
私は段ボールを抱え、女性に頭を下げました。
「ありがとうございます。完全に、誰かに持っていかれたと思い込んでました」
女性は少し笑って、「見つかったならよかったわ」と部屋へ戻っていきました。
私も部屋へ戻り、管理会社へ出すつもりだった封筒を机の上に置きました。昨夜あれほど気になっていた荷物は、ずっと同じ廊下にあったのです。
暗い場所では、思った以上に目の前のものを見落としてしまう。封筒を片づけながら、少し恥ずかしくなりました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














