「3つもかけたのに、その寝ぐせかよ」絶対に寝坊できない出張の朝。私を待っていた先輩の一言
3つの時計を並べた夜
入社2年目の春、20代の私には、絶対に寝坊できない朝がありました。
先輩と2人で朝7時の電車に乗り、取引先へ出張に行く日です。
6時に起きて、6時40分には部屋を出る予定でした。
前の晩、私は目覚まし時計を2つ買い足しました。もともと持っていた1つと合わせて3つ。枕もとに並べ、6時、6時5分、6時10分と5分おきに鳴るようにセットしました。
「よし。これならさすがに起きるだろ」
夜10時すぎ、先輩から携帯電話に電話がかかってきました。
「明日の朝、大丈夫か?寝坊するなよ」
「大丈夫です。目覚まし、3つ用意しました」
「3つも?そこまでしたなら頼むぞ。じゃあ、ホームでな」
電話を切ったあと、私はベッドに寝ころびながら、動画を1本だけ見ることにしました。
ところが、1本が終わると次の動画が始まります。「これだけ」と思いながら見続けているうちに、いつの間にか真夜中を回っていました。
それでも、枕もとには3つの目覚ましがあります。
「目覚ましを3つかけたから、もう大丈夫」
そうつぶやいて、私はようやく電気を消しました。
3つとも止まっていた朝
次に目を開けると、部屋がやけに明るく感じました。外からは車の走る音も聞こえます。
胸騒ぎがして枕もとの時計を見ると、6時30分でした。
「えっ……なんで鳴らないんだ?」
慌てて3つの時計を順番に確認すると、どれもアラームは止まっています。電池が切れているわけでもありません。
つまり、鳴ったアラームを止めたのは、おそらく私です。
ところが、ひとつも止めた記憶がありませんでした。
部屋を出る予定の6時40分まで、あと10分です。
私は大急ぎで着替え、朝ごはんも食べずに部屋を飛び出しました。駅へ走りながら頭に浮かんだのは、昨夜の「動画を1本だけ」という自分の言葉でした。
目覚ましを増やせば大丈夫だと安心しきって、寝る時間のほうを気にしていなかったのです。
なんとかホームへ着くと、先輩が腕時計を見ながら待っていました。息を切らして駆け寄った私を見るなり、私の頭に目をやって笑います。
「3つもかけたのに、その寝ぐせかよ」
「3つとも、ちゃんと鳴ってはいたみたいです…」
それ以来、寝る前の携帯電話はベッドから手の届かない机の上に置くようになりました。
そして、枕もとの目覚まし時計は4つに増えました。
先日、部屋へ遊びに来た同期は、並んだ時計を見て首をかしげました。
「これ、全部止めるだけでも大変じゃない?」
その言葉に、私は何も言い返せませんでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














