「頼む、ちょっと電話鳴らしてくれない?」携帯が見つからず家じゅうを探した夫。着信音をたどった家族が笑った場所
胸を張って帰ってきた夫
その日の夕方、夫は仕事帰りに缶ビールを6本買って帰ってきました。
暑い日が続いていたので、夕食のあとに飲むのを楽しみにしていたようです。
夫は買ってきたビールを台所の冷蔵庫にしまうと、居間にいた私と中学生の娘に向かって、得意げに言いました。
「ビール6本、ちゃんと冷やしておいたからな」
「はいはい、ありがとう」
私は笑って返しました。
夫は40代ですが、こういうところが少し子どもっぽいのです。
それに、昔から忘れ物が多く、特に携帯電話をどこに置いたのか分からなくなることがよくあります。
月に何度も一緒に探しているので、私も慣れたものでした。
そして、その日もまた、いつもの騒動が始まったのです。
ビールを冷蔵庫にしまってから30分ほどたったころ。夕食の途中で、夫が突然言い出しました。
「あれ?携帯がない。どこ置いたっけ?」
食卓の上、ソファのすき間、上着のポケット。思いつく場所を探しましたが、見つかりません。
夫は車の中まで確認し、トイレの棚も探していました。
「おかしいなあ。さっきまで持ってたんだけど…」
困った顔の夫に、私は言いました。
「着替えたとき、洗面所に置いたんじゃない?」
「いや、そこは見たよ。洗濯かごの中まで探した」
「じゃあ玄関!前にも靴箱の上に置いてたでしょ?」
娘が玄関まで見に行きましたが、やはりありません。
「なかったよ、お母さん」
「ええ…じゃあ、どこ?」
私もすっかり分からなくなってしまいました。
すると夫が、申し訳なさそうに両手を合わせました。
「悪い、ちょっと電話鳴らしてくれない?」
冷蔵庫から聞こえてきた音
私は自分の携帯電話から夫の番号にかけました。
居間で3人そろって耳をすませていると、どこかから小さな着信音が聞こえてきました。
「あ、鳴ってる!」
「どこだ?こっちか?」
夫がきょろきょろしていると、娘が台所のほうを指さしました。
「ねえ、台所じゃない?」
3人で音を頼りに台所へ向かいました。
近づくにつれ、くぐもった着信音がはっきりしてきます。
そして、冷蔵庫の前で夫が足を止めました。
「…え、まさか?」
私も半信半疑で冷蔵庫の扉を開けました。
すると、きれいに並んだ6本の缶ビール。その横に、夫の携帯電話が置いてあったのです。
「ちょっと!なんでここにあるの!」
私が携帯電話を取り出すと、ひんやりと冷たくなっていました。
どうやら夫は、缶ビールをしまうときに、手に持っていた携帯電話まで一緒に入れてしまったようです。
娘は笑いをこらえながら、夫に言いました。
「お父さん、携帯までちゃんと冷やしておいてくれたんだね」
夫は冷たくなった携帯電話を両手で包み、しばらく見つめていました。
そして、ぽつりと一言。
「……いちばんよく冷えてるのは、これだな」
その瞬間、私も娘も大笑い。
夫もつられて笑い出し、しまいには目に涙を浮かべていました。
それ以来、夫がビールを買って帰ってくるたびに、娘が決まって聞くことがあります。
「お父さん、携帯どこ?」
その一言だけで、今でも家族みんなが笑ってしまうのです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














