「部屋のエアコン、もう壊れたか」汗だくで帰宅した私。何度押しても動かず、妻だけが笑いをこらえていた理由
汗だくで帰った夕方の居間
夕方の散歩から帰ると、背中は汗でぐっしょりぬれていました。
その日は、歩き始めてすぐ後悔したほどの暑さでした。
居間とつながった台所では、妻がコンロの前に立って夕食の煮物を作っています。
居間のテレビはつけっぱなしで、料理番組が流れていました。
「ただいま。いやあ、まいった」
「おかえりなさい。顔、真っ赤よ」
「暑かったなあ。ちょっと風、強くするぞ」
私はテーブルの上にあったリモコンをろくに確かめず手に取り、テレビに背を向けたまま、壁の高いところにあるエアコンへ向けました。
風量を上げるつもりで、いつも押しているあたりのボタンを押します。
ところが、風は弱いままです。
「あれ?反応しないな」
「どうしたの?」
「いや、なんでもない。すぐ動くよ」
何度押しても変わらない風
リモコンの向きが悪いのかと思い、私は頭の上に掲げたり、少し斜めに向けたりしながら、何度もボタンを押しました。
それでもエアコンの風は変わりません。
「おかしいな…部屋のエアコン、もう壊れたか」
すると、さっきまで返事をしていた妻が急に静かになっていることに気づきました。
台所を見ると、妻は菜箸を持ったまま下を向き、肩をプルプル震わせています。
「おい、どうした?具合でも悪いのか」
妻は顔を上げようとしましたが、笑いをこらえているようでした。
「ちがう、ちがうの……お父さん、うしろ見て」
振り向いて、ようやく気づいた
言われるまま振り返ると、テレビの画面には天気予報が映っていました。
さっきまで見ていたはずの料理番組は、どこにもありません。
「さっきからね、押すたびにニュースになったり、時代劇になったりしてたのよ」
「え?」
私は手の中のリモコンをまじまじと見ました。
テレビのリモコンでした。
その瞬間、妻はとうとうこらえきれなくなり、台所で声を上げて笑い始めました。
「そりゃ、エアコン動かないわよ」
私もようやく状況が分かり、つられて吹き出しました。二人でしばらく笑いが止まりませんでした。
エアコンのリモコンは、ソファのクッションの下から見つかりました。
そして次の日、妻はそのリモコンに大きな赤いシールをぺたりと貼りました。
「はい。赤いほうがエアコン。今度は間違えないでね」
「……はいはい、覚えましたよ」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














