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2026.10.18(Sun)

「あの、10円玉はあるんですけど」お好み焼き屋で女性客の言葉を聞き間違えた私。思わぬ勘違いに赤面

「あの、10円玉はあるんですけど」お好み焼き屋で女性客の言葉を聞き間違えた私。思わぬ勘違いに赤面

注文の聞き取りには自信があった夜

学生のころ、私はお好み焼き屋でアルバイトをしていました。

夜はカウンターの内側で鉄板に向かい、へらを動かしながらお客さんの注文を聞くのが仕事でした。

店内がにぎやかでも、注文を聞き間違えた覚えはありません。

聞き取りには、ちょっとした自信があったのです。

ある寒い夜、カウンターに大学生くらいの女性客が2人座っていました。

お好み焼きを食べ終えた2人は、小銭入れをのぞき込みながら、何やらひそひそと話しています。

テーブル席からはにぎやかな話し声が聞こえ、鉄板ではソースがジュウジュウと音を立てていました。

すると、女性の1人が少し遠慮がちに声をかけてきました。

「あの、10円玉はあるんですけど…」

「はい?」

「おでんって、ありますか?」

少なくとも、そのときの私には、そう聞こえました。

寒い夜でしたし、お好み焼きのあとに温かいものが食べたくなったのだろうと、私は勝手に納得してしまったのです。

10円玉の話は少し気になりましたが、まさか自分が聞き間違えているとは思いもしませんでした。

笑いをこらえた女性客が言い直した言葉

私はへらを止め、申し訳ない気持ちで答えました。

「すみません、うちは鍋もおでんもやってないんすよ」

すると、2人は一瞬きょとんとした顔になり、お互いを見合わせました。

次の瞬間、そろって口元を押さえ、クスクスと笑い始めたのです。

「えっ、あれ?何か変なこと言いました?」

何がおかしいのか分からず、私はへらを持ったまま立ち尽くしていました。

すると、小銭入れを持っていた女性が、笑いをこらえながら言い直しました。

「いえ、あの……お電話です。公衆電話、ありますか?」

「……電話?」

そこでようやく、10円玉の話とつながりました。

女性が尋ねていたのは「おでん」ではなく「お電話」。

私は肝心なところをすっかり聞き間違えていたのです。

「あっ!そっちですか!すみません!」

顔が熱くなるのを感じながら、私は入口の横に置いてあるピンク色の電話を指さしました。

「……あちらにございます」

急にかしこまった私の返事に、2人はまた笑いながら「ありがとうございます」と席を立ちました。

幸い、テーブル席のほかのお客さんには、このやり取りは聞こえていなかったようです。

ところが、恥ずかしい思いをしたのは、それだけでは終わりませんでした。

電話を終え、会計を済ませた2人が、帰り際にカウンター越しに声をかけてくれたのです。

「お好み焼き、おいしかったです。おでんも始めたら、また来ますね」

「あはは……ありがとうございます」

私はもう、笑って頭を下げるしかありませんでした。

あれから何十年もたちましたが、家族に「お電話よ」と呼ばれると、今でもあの夜のことを思い出します。

思わず台所の鍋に目を向けてしまうことがあるのは、あの日の聞き間違いが忘れられないからでしょう。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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