「部屋の隅から、まだグツグツ聞こえる」真夜中の部屋に響く謎の音。恐る恐る近づいた私が見つけた、音の正体とは
真夜中、部屋のどこかから聞こえた音
大学生のころ、私は学生向けの小さなアパートでひとり暮らしをしていました。
入学するときに親が持たせてくれた小さな炊飯器で、最初のころは毎晩のようにご飯を炊いていました。
しかし試験やアルバイトが重なるにつれ、外で食事を済ませる日が増えていました。
そんなある夜中のことです。
布団の中でふと目を覚ますと、暗い部屋のどこかから、グツグツという低い音が聞こえてきました。
「…何だ、この音」
寝ぼけたまま耳をすませましたが、音は止まりません。
真っ先に頭に浮かんだのは、なぜか泥棒でした。
「誰か入ったのか…?まさか、何か煮てる?」
自分でも意味が分からないことを考えながら、電気をつけて玄関を確認しました。
ところが、ドアの鍵は閉まっていて、チェーンもかかったままです。
台所へ行っても、こんろのつまみはすべて閉じています。
「じゃあ、この音は何なんだよ…」
震えながら音の正体を探した私
寝起きだったこともあり、頭の中ではどんどん怖い想像が膨らんでいきました。
私は寝間着のまま押し入れを開け、机の下をのぞき、カーテンの裏まで確認しました。
もちろん、誰もいません。
それでも、グツグツという音だけは続いています。
「部屋の隅から、まだグツグツ聞こえる…」
声に出した途端、余計に怖くなりました。泥棒でないなら、今度は「何か変なものでもいるんじゃないか」とまで考え始めます。
私は音のするほうへ、恐る恐る近づいていきました。
そして、たどり着いたのは部屋の隅でした。
そこに置かれていたのは、しばらく使っていなかった炊飯器です。
「……おまえか?」
耳を近づけると、確かに中から音がします。
意を決してふたを開けると、私は思わずのけぞりました。
中には、水に浸かったままのお米が残っていたのです。白っぽく泡立ち、ぶくぶくと音を立てていました。
そこでようやく思い出しました。1週間以上前、米を研んだところで炊飯ボタンを押し忘れ、そのままにしていたのです。
正体が分かった瞬間、全身から力が抜けました。
「これだったのか……」
床にへたり込み、怖がっていた自分がおかしくなって、今度は笑いが止まりませんでした。もちろん、そのお米は食べずに捨てました。
翌日、大学で友人に一部始終を話すと、友人は机をたたいて笑いました。
「泥棒を疑って、次は幽霊かと思って、最後は米かよ」
「こっちは本気で震えてたんだからな」
あれから40年以上たった今でも、お米を研ぐと炊飯ボタンをきちんと押したか、つい2回確認してしまいます。
そんな私を見て、妻は笑いながら言います。
「大丈夫。今日もちゃんと炊けてるわよ」
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














